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21卒が定年退職するころ、労働市場はどうなる? データから考える、「定年」の在り方「仕事卒業日」からキャリアを逆算する(3/5 ページ)

» 2021年03月30日 05時00分 公開
[川上敬太郎ITmedia]

 同年の有効求人倍率最高値1.64を記録した2019年1月の有効求人数279万2670件に対して、表3と4で用いた2064年の予測有効求職者数をベースに有効求人倍率を算出してみると、以下のようになりました。

厚生労働省、国立社会保障・人口問題研究所の発表を基に筆者が作成

 予測有効求職者数が、「対総人口減少率ベース」であっても「対生産年齢人口減少率ベース」であっても、有効求人倍率が2倍を超えています。これは、超売り手市場といっても良い数値だと思います。

 もちろん、実際の労働市場の姿はこんなに単純に予測できるものではありません。かねて予測されているように、AIの台頭などで業務の自動化が驚異的に進めば、43年後の未来は求人数が桁違いに減少している可能性だってあります。世界中でベーシックインカムが導入され、人が働くことの必要性自体が今とは大きく異なっている可能性もあります

 あるいは逆に、AIなどの新しい技術が新たな雇用をたくさん生み出していたり、エネルギー不足で電力が作れずアナログ回帰が進み、デジタル化していた仕事を全て人の手で行わなければならなくなって、人手不足がより深刻化したり――ということも、ないとはいい切れません。他にも天変地異が生じる可能性など、想像し始めるとキリがありません。ただし、世の中が今の延長線上を進んで大きな変化は生じず、人口だけが変動した場合、見えてくるのは今よりもずっと人手不足が慢性化している未来です。

 もし43年後に有効求人倍率が常時2倍を超えているような未来が訪れるならば、企業が設けている定年制度にはどのような意味があるといえるのでしょうか?

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