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2007年からオンライン商談を導入しているSansanが話す“極意”アフターコロナ 仕事はこう変わる(1/4 ページ)

» 2021年03月30日 15時00分 公開
[長濱良起ITmedia]

アフターコロナ 仕事はこう変わる:

 新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、業務の進め方を見直す企業が増えている。営業、在宅勤務、出張の是非、新たなITツール活用――先進的な取り組みや試行錯誤をしている企業の事例から、仕事のミライを考えていく。

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 2020年度を振り返る時、とにかくどの分野のビジネスにも影響したといえるのが、1にも2にもコロナ禍だ。特に営業活動や商談においては、リモートワークの推進や3密回避の観点から、従来“伝統的に”行われてきた対面方式が避けられる傾向にあり、変わって市民権を得たのが、オンラインでの営業や商談だ。しかし、対面でのやりとりに慣れてきた層にとっては、直接会わないやり方自体に戸惑っている人も少なくないのではないか。

 今回は、コロナ禍に突入する前から積極的にオンライン商談を導入してきた企業や、これらのオンライン商談を後押しするプロダクトを展開している企業の事例などから、まだまだ終わりそうにもないコロナ時代のビジネススタイルを考える。

画像はイメージ

 法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」や個人向け名刺アプリ「Eight」などで知られるSansan株式会社(東京都、寺田親弘CEO)は、創業時でもある14年前、2007年にはすでに、遠方の相手とのオンライン商談を社として導入していた。この年はAppleがiPhoneを初めて発売した年で、一般的にはスマートフォンがこれから浸透していくタイミングだった。それから同社は13年には基本的に全ての商談をオンラインに切り替え、その後もオフラインやオンラインを併用して取り組んでいた。その間で一時的に訪問での商談を禁止したこともあり、社内にはオンライン商談専用の防音ブースが常設されているという。

Eight事業部コーポレートソリューション部 長谷川嵩氏

 同社Eight事業部コーポレートソリューション部の長谷川嵩さんは、15年に入社して以来、現在に至るまで「毎日休むことなくオンライン商談を繰り返してきた」という。自身のプロフィールにも「オンライン商談歴6年」とあるほど、オンライン商談のプロフェッショナルだ。

 「国内でオンライン商談が当たり前になるから(導入に向けた)チャレンジをしてきた会社です」と長谷川さん。

 多くの企業にとっては、コロナ禍で対面を避けるためというような消極的な理由で、ある種仕方なく“時代に応じて”オンライン商談に切り替えざるを得なかっただろう。しかしSansanは、むしろ積極的にそれに打って出た。

 長谷川さんは「生産性を高めていくという観点です。営業の人員を最小構成にして生産性を高くすることができます。移動のための往復時間を減らすことで、商談の件数を増やすこともできますし、もしくは商談の内容を充実させるための準備に充てることもできます」と、その大きなメリットについて説明する。

 実際に多いときで1日8件の商談を実現することも可能だ。緊急事態宣言後に各社がリモートワークを目指してソフト面・ハード面の整備を急いでいる間でも、同社ではスムーズに移行できた。

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