ファーウェイ成長急にブレーキ、日本事業のリスクは“キオクシア”<ファーウェイの現在地・中>浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(1/4 ページ)

» 2021年04月01日 09時15分 公開
[浦上早苗ITmedia]

 通信機器大手のファーウェイ(華為技術)は3月31日、2020年の決算を発表した。売上高は前年比3.8%増の8914億元(約15兆円)で、純利益は同3.2%増の646億元(約1兆円)。米国による規制が続く中、増収増益を確保したものの、売上高の伸びは13年以来7年ぶりに10%を下回った。

 セグメント別の売り上げは通信インフラ事業が0.2%増の3026億元、法人向け事業は23.0%増の1003億元、スマホなど消費者向け端末事業が3.3%増の4829億元。半導体の調達が制限され、特に20年10〜12月にスマートフォンの販売が鈍化したことで、同四半期の売上高も減収だった。

 また、地域別の売上高は中国が15.4%増の5849億元で、全体の65.6%を占めた。欧州・中東・アフリカとアジア太平洋、米州はいずれも減少した。

 胡厚崑(ケン・フー)副会長兼輪番会長は、「米国の規制の影響を受けながらも、イノベーションへの持続的な投資によって、スマホ事業の悪影響を他のビジネスで埋めることができた」と述べた。

ファーウェイの業績推移
売上高 前年比 純利益 前年比
2016年 5216億元 32%増 371億元 0.4%増
2017年 6036億元 15.7%増 475億元 28.1%増
2018年 7212億元 19.5%増 593億元 25%増
2019年 8588億元 19.1%増 627億元 5.6%増
2020年 8914億元 3.8%増 646億元 3.2%増
ファーウェイの決算会見で説明する胡厚崑副会長兼輪番会長

 決算発表に合わせ、ファーウェイ・ジャパンの王剣峰(ジェフ・ワン)会長も日本市場の調達やビジネスについて、現状と見通しを説明した。20年の調達額は明かさなかったが、「全体では悪くない」と述べる一方、キオクシア(旧東芝メモリ)が米政府からファーウェイへの輸出許可を取り消されたことを受け、「輸出許可が降りるかどうかが、21年の不確定要素」と懸念を示した。

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