なぜ「逆境に強い、挑戦する人材」が育たない? “5つの心理的障壁”を越える組織づくり・目標設定今日からできる組織改善のススメ(4)(1/3 ページ)

» 2021年04月06日 07時00分 公開
[柳川小春ITmedia]
画像イメージです(提供:ゲッティイメージズ)

「新規事業を生み出せる人を増やしたい」
「創業者のチャレンジ精神を受け継ぐ若手を増やしたい」
「困難や逆境に強い人材を育てたい」

 不確実性が増しているビジネス環境の中で、このように“挑戦できる人材”を求めている経営者・人事の方も多いのではないでしょうか。しかし、一言に“挑戦”と言っても従業員から見るとさまざまなハードルがあることも事実です。

 今回の記事では「挑戦への心理的なハードル」を感じる理由をもとに、それぞれに対して人事や管理職が実践できる打ち手のアイデアをご紹介します。

著者プロフィール:柳川小春(やながわ・こはる)

Fringe81株式会社 COO室マーケティング戦略室室長

1994年生まれ。一橋大学経済学部を卒業後、Fringe81株式会社に新卒で入社。新規事業開発本部に配属されUniposの立ち上げ時のPRやカスタマーサポート、マーケティングを担当。2020年よりUnipos株式会社マーケティング執行役員に就任。2020年10月より現職。心理的安全なチームづくりを実践中。

Twitter:@Koharu_Yanagawa


社員が挑戦に対して感じる5つの心理的障壁

 新しいことや困難なことへの挑戦に対し、心理的ハードルを感じる人は84.0%──全国の上場企業に勤める20〜30代のビジネスパーソン1030人を対象に当社(Unipos)が実施した調査で、そのような結果が判明しました。

 心理的なハードルを感じる理由として特に当てはまるもの(複数回答)は下記の通りです。

1位:「失敗して信頼を失い評価が落ちるのが怖いから」(35.6%)
2位:「今やっている仕事で認められている実感がないから」(24.9%)
3位:「過去に新しい挑戦に成功したことがないから」(18.8%)
4位:「現場から新しい取り組みについて発言できる空気ではないから」(18.0%)
5位:「自分のキャリアやスキルにどうつながるかが見えないから」(17.9%)

 これらの考えが生まれる要因はさまざまありますが、ここでは大きく「組織文化・組織風土」「制度設計(目標設定・評価など)」に分けて、解決策を検討していきましょう。

「罰」が挑戦を阻害する。心理的安全な組織風土のつくり方

 挑戦を促す組織文化・組織風土を考える前に、挑戦を阻害する組織文化・組織風土を考えてみましょう。皆さんはどのような特徴を思い浮かべますか。読み進める前に少し頭の中に思い浮かべてみてください。

 例えば、以下のような組織文化・組織風土についてどのように感じるでしょうか。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.