忘れたころに「バカッター事件」が繰り返される理由 企業の対策は?年次進行という視点(2/3 ページ)

» 2021年04月19日 13時33分 公開
[増沢隆太INSIGHT NOW!]
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バカッター史後期。バカスタグラムへ

 大きな社会問題にもなり、バカッター行為も一旦沈静化します。2018年ごろ、若者はツイッターからインスタグラムにシフトします。インスタの興隆と、投稿後24時間で消えるというインスタの新仕様ストーリーズによって再びバカッター行為は息を吹き返します。この後バカスタグラムとの別称も生まれました。

 バカッターと全く同じ轍(てつ)を踏む、飲食店のバックヤードでの不衛生行為が投稿され、そのインスタ投稿自体は24時間で消えても、当然のごとく転載され、永遠に残るサイトに載ったものは今でも残っています。

 SNSも日々進化します。ツイッターがインスタに代わり、今回はTikTokが利用されていたようです。メディアが代わろうともインターネット上の情報がどんなものであるか、リテラシーを持たない愚かな人たちは永遠にバカッター行為をし続けるのだろうと思います。

なぜ繰り返されるのか?

 バカッター行為を働き、プライバシーが暴露され就職内定を取り消された者もいます。今回の懲戒解雇のような厳重処分や損害賠償なども課されます。自分だけでなく家族の勤務先まで晒され、甚大な影響を被ったにもかかわらず、なぜこうした行為は繰り返されるのでしょう。

 それには年次進行という視点があると思います。学校用語ですが、例えば大学1年の時にアルバイト先でバカッター行為をしたことがバレ、大問題になったとします。その甚大な影響はさすがにバカでもわかるので、周囲は一旦注意をするようになります。しかしその後学年が進み、2年3年と進み4年で卒業となり、当事者とその時代を経験した「世代」が卒業してしまうと、もう「当時を知る世代」が不在になります。

 ここでバカッター行為の甚大な影響は風化してしまうのです。わが身をもってしか痛みがわからないような愚か者がバカッター行為に及びます。リテラシーがあり、想像力と常識で判断できる人は元からこのような行為には及びません。

 結局伝説を伝承する古老がいなくなった集落において、再び神を恐れぬ行為が繰り返されるのです。

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