クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

再度注目を集める内燃機関 バイオ燃料とe-fuel池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/4 ページ)

» 2021年05月17日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

バイオ燃料

 さて、そういう燃料にはどういうものがあるのだろう。南米などを中心に実用化済みで、ある程度歴史があるのはいわゆるエタノール燃料である。これは何らかの植物を微生物によって分解し、蒸留して生産する。いわゆるバイオエタノールと呼ばれるものだ。

 問題は植物の調達で、天然の植物を伐採して作るとすれば緑化の反対になるわけで、当然植物が減った分CO2負荷が増えてしまう。そこで他の産業で使った後の木くずや藁(わら)くずなどを用いる。最も多く使われるのはサトウキビの絞りかすであるバガスだ。砂糖の生産後、後処理に困っていたやっかいものが資源になるということで注目されている。

 これと少し似たものにバイオ燃料がある。バイオ燃料には第1世代と第2世代があって、かつてはトウモロコシから作られることが多かった。しかし今でも子供が餓死するような食料事情の国があるにもかかわらず、それを先進国が金にあかせて燃料にするなど非人道的であると物言いが付いて、トウモロコシからの生産は激減した。

 代わりに第2世代として注目を集めているのが、藻類をベースにしたもの。具体的にはユーグレナ(ミドリムシ)などだ。これらは人間と食料の競合を起こさない原料ということで選ばれた。

 ユーグレナは葉緑素を持ち、太陽光を利用して大気中のCO2を取り込んで固定し、油を生成して溜め込んでくれる。それが、藻類由来のバイオ燃料である。

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