さて、そういう燃料にはどういうものがあるのだろう。南米などを中心に実用化済みで、ある程度歴史があるのはいわゆるエタノール燃料である。これは何らかの植物を微生物によって分解し、蒸留して生産する。いわゆるバイオエタノールと呼ばれるものだ。
問題は植物の調達で、天然の植物を伐採して作るとすれば緑化の反対になるわけで、当然植物が減った分CO2負荷が増えてしまう。そこで他の産業で使った後の木くずや藁(わら)くずなどを用いる。最も多く使われるのはサトウキビの絞りかすであるバガスだ。砂糖の生産後、後処理に困っていたやっかいものが資源になるということで注目されている。
これと少し似たものにバイオ燃料がある。バイオ燃料には第1世代と第2世代があって、かつてはトウモロコシから作られることが多かった。しかし今でも子供が餓死するような食料事情の国があるにもかかわらず、それを先進国が金にあかせて燃料にするなど非人道的であると物言いが付いて、トウモロコシからの生産は激減した。
代わりに第2世代として注目を集めているのが、藻類をベースにしたもの。具体的にはユーグレナ(ミドリムシ)などだ。これらは人間と食料の競合を起こさない原料ということで選ばれた。
ユーグレナは葉緑素を持ち、太陽光を利用して大気中のCO2を取り込んで固定し、油を生成して溜め込んでくれる。それが、藻類由来のバイオ燃料である。
- 内燃機関から撤退? そんな説明でいいのかホンダ
ホンダは新目標を大きく2つに絞った。一つは「ホンダの二輪・四輪車が関与する交通事故死者ゼロ」であり、もう一つは「全製品、企業活動を通じたカーボンニュートラル」。そして何より素晴らしいのは、その年限を2050年と明確に定めたことだ。ホンダは得意の2モーターHVである「e:HEV」を含め、全ての内燃機関から完全卒業し、EVとFCV以外を生産しない、世界で最も環境適応の進んだ会社へと意思を持って進もうとしている。
- バッテリーEV以外の選択肢
バッテリーEV(BEV)やプラグインハイブリッド(PHV)などの「リチャージ系」は、自宅に充電設備がないともの凄く使いにくい。だから内燃機関はしぶとく残るし、ハイブリッド(HV)も然りだ。ただし、カーボンニュートラルにも目を配る必要はある。だから、それらを補う別のエネルギーを開発しようという機運はずっと前から盛り上がっている。
- 船からトラックまで 水素ラッシュを進めるトヨタ
トヨタの水素戦略の中で、全ての中心にあるのは、MIRAIに搭載される燃料電池スタックだ。MIRAIはいわずと知れた燃料電池車(FCV)で、水素と酸素を反応させて発電するFCスタックを備えている。クルマ以外の燃料電池需要に対して、MIRAIのFCスタックの持つポテンシャルは大きい。
- 水素に未来はあるのか?
「内燃機関が完全に滅んで、100%全てのクルマがEVになる」という世界は、未来永劫来ないだろう。そのエネルギーミックスの中にまさに水素もあるわけだが、FCVにはいろいろと欠点がある。しかし脱化石燃料を目標として、ポスト内燃機関を考え、その候補のひとつがFCVであるとするならば、化石燃料の使用を減らすために「化石燃料由来の水素」に代替することには意味がない。だから水素の製造方法は変わらなくてはならない。また、700気圧という取り扱いが危険な貯蔵方法も変化が必要だ。
- ガソリン車禁止の真実(考察編)
「ファクト編」では、政府発表では、そもそも官邸や省庁は一度も「ガソリン車禁止」とは言っていないことを検証した。公的な発表が何もない。にも関わらず、あたかも30年にガソリン車が禁止になるかのような話が、あれだけ世間を賑わしたのはなぜか? それは経産省と環境省の一部が、意図的な観測気球を飛ばし、不勉強なメディアとEVを崇拝するEVファンが、世界の潮流だなんだと都合の良いように言説を振りまいたからだ。
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