コラム
» 2021年05月28日 07時00分 公開

LGBT「無関係な企業」はない 「体は男だけど女子トイレ」問題と、淘汰される無知な企業河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(3/3 ページ)

[河合薫,ITmedia]
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 日本にはこれまで、LGBTに関する差別やハラスメントを禁止する法律がありませんでした。しかし、20年6月1日に「パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)」が施行。全ての企業に、SOGIハラやアウティングの防止策を講じることが義務付けられました(中小企業は22年4月から適用)。

 SOGIとは、Sexual Orientation and Gender Identityの頭文字で、性的指向・性自認を意味しています。LGBTが、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーという「個人」を指すのに対して、SOGIは「自分自身をどういう性だと認識しているのか」を意味するので、「私」も含まれます。つまり、全ての人を指すのがSOGIで、ここに込められているのが「フツーという概念はない」という、フツーへの批判です。

 19年に行われた調査で、同性愛者らの42.5%、トランスジェンダーの87.4%が就職活動の選考時に「性の在り方」に関して困ったことがあったと回答しましたが、今後はこのようなこともハラスメントに該当します

 また、LGBTやSOGIを理由に、昇進の拒否をすることや、飲み会などで「アイツ、あっちらしいよ」だの、「こないだパートナー紹介されたら、男でびっくりした」といった会話も、全てハラスメントです。

 要するに、LGBT問題に真剣に取り組まない企業は、たった1人の「知識のない輩」の発言で、淘汰されていくということ。「どんな発言をしても大丈夫な社会をつくるべきだ」(前述)などという暴論は時代錯誤としかいいようがありません。

 何かと最近の日本は、「世界からの遅れ」が目立ちますが、LGBTもしかりです。

 EUでは、20年以上前の2000年に、「雇用と職場における平等」指令(2000/78/EC)を制定し、性的指向を理由に求職者を不平等に扱ったり、職場で揶揄したり侮辱したりすること、昇進や研修を阻むことが禁止されました

平等な扱いが義務付けられている(提供:ゲッティイメージズ)

 同性婚についても、01年にオランダで初めて合法化されて以降、欧州を中心に容認の動きが広がり、現在約30カ国・地域で法的に認められています。

 とにもかくにも、まずは「知る」ことから初めてほしい。知らないことが、どれだけの人を傷つけることになるのか。ぜひとも考えてほしいです。

河合薫氏のプロフィール:

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 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。

 研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)、『面倒くさい女たち』(中公新書ラクレ)、『他人の足を引っぱる男たち』(日経プレミアシリーズ)、『定年後からの孤独入門』(SB新書)、『コロナショックと昭和おじさん社会』(日経プレミアシリーズ)がある。


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