ということで、われわれがランクルに期待すべきは、絶対に生きて帰って来られる性能が死守された上で、どれだけ快適になったか、あるいは楽しくなったか、環境に良くなったか。そういうことだろう。
期待すべきは、ラダーフレームにもようやくTNGA世代がデビューしたことだ。GA-Fプラットフォームだ。このニューシャシーの採用によって、高剛性化、低重心化、重量配分の適正化、サスペンション構造の改善など多くのメカニカルな進化をもたらしつつ、フレームと車体を合わせて200キロの軽量化を果たしているという。
そしてパワートレインも新設計になった。従来のV8に替えてV6ツインターボの3.5リッターガソリンと3.3リッターディーゼルである。もちろん動力性能はV8を凌駕(りょうが)している。2気筒減った分フリクションも減るはずだが、それにダイレクトシフトの10段ATを組み合わせて燃費を改善しているという。
こうした新しいランクルの発表を「ランクルじゃなきゃダメなんだ」と強く信じる世界中の人々が、ある種のお祭りのように受け止めたことは、ここまで説明すればご理解いただけたと思う。
1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミュニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。
以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う他、YouTubeチャンネル「全部クルマのハナシ」を運営。コメント欄やSNSなどで見かけた気に入った質問には、noteで回答も行っている。
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