10月2日、トヨタ自動車はミドルサイズSUVのヒットモデル、RAV4に特別仕様車を追加発売した。この「RAV4 Adventure “OFFROAD package”」 は一見すると、ただのドレスアップモデルに過ぎない。しかし、それはトヨタの次の一手への礎になるかもしれない。
大ヒットモデルRAV4にさらにオフロード色を高めた特別仕様が追加された。その狙いはどこにあるのか?
切削加工のアルミ地が生かされたホイールを履くのは、ベースモデルのAdventure。タイヤとホイールの印象がだいぶ異なる
すでにご存じの通り、RAV4は近年にほかにないほど売れている。売れているという話は知っていても、それがどのくらいかを押さえている人は少ないのではないだろうか。グローバルでの上半期の総販売台数は約42万6000台で、月販に直して7万1000台。トヨタ車中、最量販車種として君臨する。
特に、SUV志向の強い米国と中国で好調。世界のナンバー1、ナンバー2市場を押さえていることがこの成績の最大の理由だろう。
では、日本国内の販売はどうなのか? 2019年4月10日に発売されて以降の国内でのRAV4の月度別売り上げと車名別のRAV4の順位を並べてみよう。
- 5月:6817台 7位
- 6月:7822台 11位
- 7月:8646台 10位
- 8月:6277台 9位
- 9月:6601台 14位
- 10月:3919台 13位
- 11月:4988台 14位
- 12月:5759台 8位
さて数字の見方だが、車名別販売台数のトップを狙うには、最低でも1万台越えはしていないとまず無理だ。ランキングなので同時期に他のヒットモデルがあるかどうかで、かなりブレがあるのだが、例えばプリウスが化け物のように売れていた頃の瞬間風速は4万台ほど。しかし、通常1万台を越えてベスト3に入れないということはまずない。例えば7月のRAV4の台数ピークは不運にも10位だったが、例月ならベスト5が狙える数字だ。概ね5000台がベスト10圏だと理解しておけばそう間違っていない。
実績では5〜12月までのベスト10入りは4回だが、過半数を廉価なBセグが占めるようなランキングで、売れ筋モデルが350万円もするクルマがベスト10圏台数を売り続けていたことになる。
RAV4 PHVとHonda e予約打ち切り どうなるバッテリー供給
トヨタRAV4 PHVと、ホンダのHonda eの予約注文が中止になった。両車とも想定以上に売れたことが理由なのだが、トヨタははっきりとバッテリーの供給が間に合わないと説明している。ホンダは予定生産台数の国内配分枠を売り切ったからというのが正式説明だが、まあおそらくは、その予定生産量を決めているのはバッテリーの供給量だと踏んで間違いはあるまい。
RAV4 PHV 現時点の最適解なれど
トヨタはRAV4 PHVを次世代システムとして市場投入した。世間のうわさは知らないが、これは早目対応の部類だと思う。理由は簡単。500万円のクルマはそうたくさん売れないからだ。売れ行きの主流がHVからPHVへ移行するには、PHVが250万円程度で売れるようにならなくては無理だ。たった18.1kWhのリチウムイオンバッテリーでも、こんな価格になってしまうのだ。まあそこにはトヨタ一流の見切りもあってのことだが。
SUVが売れる理由、セダンが売れない理由
セダンが売れない。一部の新興国を除いてすでに世界的な潮流になっているが、最初にセダンの没落が始まったのは多分日本だ。そしてセダンに代わったミニバンのマーケットを、現在侵食しているのはSUVだ。
日本に凱旋した北米マーケットの大黒柱RAV4
トヨタ自動車の新型RAV4は北米で屋台骨を支える最量販車種。無骨な方向に進化し、大型化して日本に戻ってきた。3種類の四輪駆動方式の違いと特徴はいかに。
MX-30にだまされるな
マツダの電動化の嚆矢(こうし)となるMX-30をどう見るか? このクルマのキャラクターをつかもうと思うのであれば、変化球モデルだと思わない、スポーツ系モデルだと思わない、ついでにフリースタイルドアのことも電動化のことも全部忘れる。そうやって全部の先入観を排除して、普通のCセグのSUVだと思って乗ってみてほしい。その素直で真面目な出来にびっくりするだろう。
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