クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向
連載
» 2020年10月26日 07時00分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:RAV4をもっと売れ! (2/5)

[池田直渡,ITmedia]

新車効果を見直す

 この流れを見て、トヨタの販売部隊は「売り上げが落ちていない」と喜んだという。確かに普通ならめでたしめでたしというところだろう。ところがRAV4の開発チームはその見方に違和感を持っていた。4代目の40型は、北米で、初年度20万台、2年目40万台、3年目80万台と販売を倍々に増やしていった。

 ところが5代目で販売を再開した日本市場では、ごく当たり前に、5〜7月に新車効果で一度ピークを付けて、そこから多少のでこぼこはありつつも、徐々に販売台数が下がるという従来通りの推移を見せている。

 いわれてみれば、それではダメだ。新車の時だけ売れて、2年後にマイナーチェンジでテコ入れという方法で満足しているわけにはいかない。例えば、初の実用的装備といえるトヨタの高度駐車支援システム「アドバンストパーク」は、後発のヤリスとヤリスクロスにはオプション設定されているが、RAV4に設定はない。そうやって相対的に商品価値は下がっていくことになる。

 訴求力が落ちて、販売台数が落ちれば、値引きが横行する。新車を値引けば、中古車価格も下取り価格も下がる。すなわち顧客の資産が毀損(きそん)するのだ。それは長期的に見て、次の買い替え原資を縮小させることになる。値引きはメーカーにとっても将来利益の先食いだ。

 加えて、販売方法の変化もある。今や、クルマの購入方法として、残価設定クレジットは当たり前になっている。残価設定クレジットは3年と5年のタイプが選べるので、従来の売り切り販売と異なり、最速で3年目に買い替えの商機がやってくる。とすれば、RAV4の現オーナーが、3年後にもう一度RAV4を購入したくなるように、商品の魅力向上を常に続けなくてはならない。2年放置して、テコ入れというやり方ではなく、商品を常にブラッシュアップし続けなければ、もう一度RAV4を選んでもらうことはかなわない。

 加えていえば、従来こうしたカスタム仕様はアフターマーケットの仕事だったのだが、残価設定クレジットの普及とともに、サードパーティ製のパーツを後組みすることは難しくなっている。保証や下取りに問題が発生する可能性が高いからだ。メーカーパッケージとして、純正ならではの信頼性と精度でこれだけのドレスアップをしてくれるのであれば、良い落とし所であるのも確かだ。

元々優れたRAV4にさらにロードクリアランス10ミリがプラスされた結果、走破性能が向上した

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