しかしである。トヨタの最量販車種であるRAV4にとって、果たしてこの程度のカスタム仕様の追加が、数量的に目に見えた販売台数の積み上げになるのかという疑問もわく。何しろ発想の原点は毎年倍々ゲームで台数を増やした北米マーケットなのだ。
それに対しては「これだけじゃない」というのが答えだろう。つまりトヨタはこうした特別仕様をきっかけに、顧客の声を拾い上げた特別仕様を次々と打ち出していきたい野望を持っている。その作戦で必ずしも倍々ゲームが可能だとは思えないが、車種毎に短期でリフレッシュプランを打っていくべきという点には大いに賛同できる。じっとしていれば魅力は下がってしまうのだ。
リアルなユーザーの声を拾い上げ、製品化し、売れ行きを見ながら、また新たな声を拾い上げて次の特別仕様を企画していく。特別仕様はあらかじめ生産台数を決めた限定仕様ではないが、作り始めたからといって永遠に作るモデルではない。販売台数の推移を見ながらどこかで打ち切る。特定ユーザーの声に応えたら、生産を終了し、また新たな声に耳を傾けるのである。もし、自分の持っているRAV4より、その特別仕様が魅力的だと思えば、3年後にもう一度RAV4を選ぶ可能性はあるかもしれない。
アプローチは異なれども、それはマツダが、ビッグマイナーチェンジを止めて、年次改良方式を取り入れ、継続的にクルマの価値を上げ続けていく考え方と同じことだ。
そうなると、生産現場の協力が必要だ。特別仕様を次々と追加し、それを商品力維持向上の推進力とするためには、生産現場で多品種少量生産のノウハウが求められる。
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