しかしである。トヨタの最量販車種であるRAV4にとって、果たしてこの程度のカスタム仕様の追加が、数量的に目に見えた販売台数の積み上げになるのかという疑問もわく。何しろ発想の原点は毎年倍々ゲームで台数を増やした北米マーケットなのだ。
それに対しては「これだけじゃない」というのが答えだろう。つまりトヨタはこうした特別仕様をきっかけに、顧客の声を拾い上げた特別仕様を次々と打ち出していきたい野望を持っている。その作戦で必ずしも倍々ゲームが可能だとは思えないが、車種毎に短期でリフレッシュプランを打っていくべきという点には大いに賛同できる。じっとしていれば魅力は下がってしまうのだ。
リアルなユーザーの声を拾い上げ、製品化し、売れ行きを見ながら、また新たな声を拾い上げて次の特別仕様を企画していく。特別仕様はあらかじめ生産台数を決めた限定仕様ではないが、作り始めたからといって永遠に作るモデルではない。販売台数の推移を見ながらどこかで打ち切る。特定ユーザーの声に応えたら、生産を終了し、また新たな声に耳を傾けるのである。もし、自分の持っているRAV4より、その特別仕様が魅力的だと思えば、3年後にもう一度RAV4を選ぶ可能性はあるかもしれない。
アプローチは異なれども、それはマツダが、ビッグマイナーチェンジを止めて、年次改良方式を取り入れ、継続的にクルマの価値を上げ続けていく考え方と同じことだ。
登坂力のテストと、下りの速度&姿勢コントロールを司るヒルディセントコントロールのテスト
そうなると、生産現場の協力が必要だ。特別仕様を次々と追加し、それを商品力維持向上の推進力とするためには、生産現場で多品種少量生産のノウハウが求められる。
- RAV4 PHVとHonda e予約打ち切り どうなるバッテリー供給
トヨタRAV4 PHVと、ホンダのHonda eの予約注文が中止になった。両車とも想定以上に売れたことが理由なのだが、トヨタははっきりとバッテリーの供給が間に合わないと説明している。ホンダは予定生産台数の国内配分枠を売り切ったからというのが正式説明だが、まあおそらくは、その予定生産量を決めているのはバッテリーの供給量だと踏んで間違いはあるまい。
- RAV4 PHV 現時点の最適解なれど
トヨタはRAV4 PHVを次世代システムとして市場投入した。世間のうわさは知らないが、これは早目対応の部類だと思う。理由は簡単。500万円のクルマはそうたくさん売れないからだ。売れ行きの主流がHVからPHVへ移行するには、PHVが250万円程度で売れるようにならなくては無理だ。たった18.1kWhのリチウムイオンバッテリーでも、こんな価格になってしまうのだ。まあそこにはトヨタ一流の見切りもあってのことだが。
- SUVが売れる理由、セダンが売れない理由
セダンが売れない。一部の新興国を除いてすでに世界的な潮流になっているが、最初にセダンの没落が始まったのは多分日本だ。そしてセダンに代わったミニバンのマーケットを、現在侵食しているのはSUVだ。
- 日本に凱旋した北米マーケットの大黒柱RAV4
トヨタ自動車の新型RAV4は北米で屋台骨を支える最量販車種。無骨な方向に進化し、大型化して日本に戻ってきた。3種類の四輪駆動方式の違いと特徴はいかに。
- MX-30にだまされるな
マツダの電動化の嚆矢(こうし)となるMX-30をどう見るか? このクルマのキャラクターをつかもうと思うのであれば、変化球モデルだと思わない、スポーツ系モデルだと思わない、ついでにフリースタイルドアのことも電動化のことも全部忘れる。そうやって全部の先入観を排除して、普通のCセグのSUVだと思って乗ってみてほしい。その素直で真面目な出来にびっくりするだろう。
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