――球団職員になって、一番変化したことはなんでしょうか?
球団がチームを支えるために、裏側でやってくれていたことに気付けたことです。特に大きかったのは、コロナで無観客試合が行われた際、客席にファンの皆さんを写した応援パネルを設置した経験です。全部で3000人分くらい。土砂降りの中、社員全員でかっぱをかぶりながらイスにくくりつけました。
選手だったときは、そういう裏側をあまり意識できていませんでした。球場に行ったらパネルが設置されてて、スポンサーのフラッグが掲げてあるのが当たり前。でも、その一つ一つを誰かがやってくれてたんですよね。
無観客でもファンの皆さんを楽しませたり、スポンサーに敬意を示したり、街の人たちに感謝を伝えたりする、球団側の役割の大きさを感じて、これからは自分がそちら側をやっていくんだと自覚がわいてきました。
選手たちはプレーの質を上げることに一生懸命なので、球団側が何をしているのか、どんな思いでいるのか、そこまで意識が回らないことがあるですよね。自分たちだけで成り立っていないことは知っているけれど、実際に何をしているかは深く知らない。
それを少しでも知るきっかけがあったら、選手たちの考え方やプレーにも良い変化が起きると思うんです。例えば、球団が開催してくれていた健康管理セミナーも、目の前のことに集中している選手からすると「練習したい」「休みを取りたい」と、あまり気持ちが乗りません。
でも長い選手生命を考えると、とても大事な考え方を知る機会でもあります。裏側にある球団側の思いを感じられたら、受けるときの心持ちも変わって、結果として自分の選手としての寿命を延ばすことにつながるかもしれません。
僕が球団事業側で働く中で気付けたことを、選手たちにもしっかりと伝えていきたいです。どちらの立場も分かるからこそ、選手と球団の架け橋的な存在になれたらと思っています。
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