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3度の戦力外通告を受け、営業部へ 「異例」のキャリアを選択した理由は元横浜DeNAの中後悠平さん(4/5 ページ)

» 2021年06月20日 08時09分 公開
[岡のぞみITmedia]

数千万円規模の受注で、個人目標を達成

――営業職への転身は、大変なことも多かったんじゃないでしょうか?

 本当に大変でしたね。なにせ基礎中の基礎を知りませんから。パワーポイントを使った資料作成とか、タイピングとか全く分からなくて、些細(ささい)なところを相談させてもらいながらなんとか慣れていきました。

 特に大変だったのは、最初の2〜3カ月に経験した営業のロールプレイング研修です。上司5人が仮想企業をそれぞれ作って、その企業様から契約をいただくために、テレアポ、企画書の作成、部内や社内の調整、契約書の締結まで一通り経験するものでした。

 資料作成もままならない中で、5つの案件を並行して進めていくのはあまりにも大変で、1週間は毎日終電で帰ってましたね。最初のころは、何をどうしたら良いのか分からなくて、できもしないのに一人で仕事を抱え込んでました。

 その様子を見ていた上司は「野球だってボールを抱えてても始まらんだろ」と、抱え込まず相談することの大切さを教えてくれました。そうやって優しく接してくれる一方、あえて厳しく接してくれて、仮想企業側の立場から無理難題を提案されたり、難しい条件を出してきたりするんです。この期間で徹底的に営業ノウハウをたたき込んでもらいました。本当に濃い2カ月半で、実際7キロも痩(や)せました(笑)。

 それでも辞めたいと思わなかったのは、20年間野球を続ける中で身についた根性が生きているのかなと思います。小学校のころからずっと野球一筋で、うまくいかなかったり、理不尽なことを言われたり、何度もめげそうなときがありました。でもそのたび、自分が直せるもの見つけて、一つずつ改善していくのを繰り返してきたんです。野球が教えてくれた、そういう前向きな考え方のおかげで、研修を乗り切ることができたし、今も仕事ができているんだと思います。

――野球の経験が生きてるんですね。研修の成果はでましたか?

 2020年11月ごろに、初めて冠ゲームの受注をいただくことができました。上司にサポートしてもらいながら、メイン担当として密にコミュニケーションをとって、やっと契約に至ったときは嬉しかったですね。先方も僕の初受注を一緒になって喜んでくれて、それまでの努力が報われた気がしました。

 そこから徐々にできることも増えていき、今季は数千万円規模の案件も受注し、個人目標を達成することができました。

 でもこれは決して1人で出した成果ではありません。上司に支えてもらって、チームメンバーが調整してくれて実現できたことなので、喜びよりは、みんなへの感謝のほうが大きいですね。今回のことにおごらず、来年はしっかりと独り立ちして、貢献していきたいです。

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