お金を払ってくれない人への「督促回収」をSaaS事業化 シリアルアントレプレナーが後払いサービスに見いだした商機(2/2 ページ)

» 2021年06月25日 12時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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債権管理と回収業務を一括で行えるプラットフォーム

 督促回収で必要となる、債権管理、督促、回収と消込、そして最終的な債権の譲渡や償却までをSaaSとして提供する。事業者はLectoを使い、未支払い者に自動的に督促の電話をかけたりSMSを送ったりを同一プラットフォームから行える。支払いがあったら、どの債権に対するものなのかを確認し付き合わせる消込も行う。いくら督促しても支払いがない場合、債権の償却やサービサーなどへの債権譲渡も行える。面倒な債権管理と回収業務を一括で行えるようにする仕組みだ。

債権管理と回収業務を一括で行えるワンストップのプラットフォーム、Lecto(Lecto資料より)

 未払い時の督促は、通常電話や郵送による書面が多いが、小山氏はデジタルにこだわる。「例えば、督促をメールで送り、そこにリンクがあって、クリックするとバーコードが表示される。それを決済アプリで読み込めばすぐに支払える。このほうが簡単で安心。ユーザーの体験もよくなる」(小山氏)

 うっかり支払いを忘れたときに、ネットバンキングにログインして銀行振り込みをしたり、用紙をコンビニに持って行って支払ったりするのは確かに手間だ。一連の流れにハードルを設けず、スムーズに支払えるようにすれば、回収率も上がる。

 そもそも昨今の後払いサービスは、ユーザーの住所情報を取らず、KYC(本人確認)もなしで利用できるものもある。携帯電話番号しか分からない状況では、郵送もできない。督促の方法もデジタルに変わりつつある。

Lectoのサービスイメージ。事業者はLectoの画面から、債権管理、督促条件の設定、交渉履歴の管理などを一括して行える(Lecto資料より)

 Lectoのサービスは一般公開が7月の予定だ。ただし、決済代行業者大手のGMOペイメントゲートウェイや、アイフルグループで後払いサービスを提供するAGミライバライがすでに導入済み。またいくつかのスタートアップ各社が導入を決定し、利用を始めている。月額課金のSaaSモデルで、月額数十万円の価格感となる。

 「決済事業者からの引き合いは想定通りだ。ローン事業者や貸金業者ももちろん顧客対象となる。さらに、レンタルサービスを行っているサブスク事業者などにも利用してもらえるサービスだ」と小山氏。

 AIを使った与信や、華々しいキャンペーンなど、フロント部分が注目されるフィンテックサービスだが、Lectoのような裏側のサービスが登場することで、フィンテックエコシステムの厚みが増していきそうだ。

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