4カ月で2万個が売れた! なぜアサヒは食べられる容器「もぐカップ」を開発したのか週末に「へえ」な話(3/4 ページ)

» 2021年06月26日 08時05分 公開
[土肥義則ITmedia]

“水の削減”にも一役

 2019年7月、アサヒビールと丸繁製菓は共同開発することに。もちろん、食べられるカップである。

 開発にあたって、最も苦労したことは何か。この質問に対し、「耐久性」という答えが返ってきた。「最初は400ミリリットルのモノをつくろうとしましたが、見事に失敗。素材(ジャガイモでんぷんなど)が伸びなくて成型することができませんでした。できる範囲の中で、できるだけ大きいモノをということで、200ミリリットルのサイズをつくることができました」(古原さん)

食べられるコップ「もぐカップ」は4種類

 「耐久性がうんぬんかんぬんと言ってるけれど、ぶ厚くすれば強度が増すのでは?」と思われたかもしれない。その通りである。ぶ厚くすればするほど強度は増すが、そうすると飲んだあとに、または食べたあとに、その容器を食べるのが大変なことになる。お腹が一杯になって、もう食べることができない。といった状態になって、食べかけの容器が散乱してしまえば、本来の目的からそれてしまう。そうなってはいけないので、ギリギリのところで調整を行う。結果、厚さ2.5ミリ〜3ミリで一定の耐久性を保つことに成功する。

 容器は高温高圧で焼き固める製法で完成したわけだが、どのくらいの時間使えるのだろうか。「冷たい飲み物であれば、1時間ほど使い続けても問題ありません」(古原さん)とのこと。また、売れ筋を聞いたところ、えびせんのLサイズが一番人気だそうだ。

もぐカップの中にアイスを入れてパフェをつくる人も

 当初、コップの代わりになるモノとして開発を進めていたわけだが、購入者の利用シーンをみると、さまざまな工夫がうかがえた。カップの中にアイスやシャーベットを入れてパフェをつくったり、カレーやシチューを入れてお皿として使っていたり。通常のお皿にカレーを盛り付けると、洗うのがちょっと面倒である。ルーや油がこびりついて「ギトギトするのは嫌」という人が、食べられるお皿として使っているのかもしれない。

 ゴミを削減するために生まれてきたコップだが、“水の削減”にも一役買っているようだ。

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