意外なことに、過去2期の賞与はコロナ禍にもかかわらず前年同期比で増えています。賃金も、所定内給与(残業手当を除く給与)は、2021年3月は、2年前の同じ月と比べて0.5%増えています。
この背景には日本独特の、恒常的な残業があると思われます。経済はコロナ禍が収束すれば回復するはずであり、賃金や賞与まで減らさなくても、残業を減らすことによって十分対応できると、企業が判断したと推測されます。事実、毎月勤労統計調査によると、所定外労働時間は、2021年3月は、2019年3月に比べて8%減っています。
このようにみてくると、今夏賞与は前年同期比で増加すると予想します。ただ、夏季賞与には「34万円の壁」ともいうべきものが存在します。世界金融危機後の12年間で、中小企業の夏季賞与が34万円を超えたことはありません。従って、前年同期比0.9%増の33万9,000円程度になると予想します。
業種別の予想は表に示した通りです。
「情報通信業」「情報通信機械器具」などで特に大幅な増加を予測しました。もともとの業績が好調であるうえに、テレワークで特需を享受しているからです。
逆に大幅な減少を予測したのが「飲食サービス業等」と「食料品・たばこ」です。業界全体で経常損益が赤字に落ち込んでいることが要因です。
以上、今夏の賞与を決めるうえで、参考になれば幸いです。
リザルト株式会社代表取締役。金融機関等に勤務後、株式会社賃金管理研究所を経て賃金コンサルタントとして独立。
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