“鉄道観光ビジネス”再起動、失われた2年間をどう取り戻すのか杉山淳一の「週刊鉄道経済」(6/10 ページ)

» 2021年07月02日 11時46分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 ビジネス需要も観光需要も落ち込む中で、ビジネス需要の早期回復は期待できない。そこで旅行需要の拡大策「ずらし旅」を作った。旅行会社と連携し、観光宿泊施設と観光体験施設割引を組み込んだパッケージ商品を売る。出張族に向けてビジネスホテルを組み合わせたダイナミックパッケージの観光施設版だ。

 JR東海ツアーズの旅行商品は、20年8月から2カ月間で8倍も売れたという。21年3月から7月末までゲームソフト「信長の野望・新生」「戦国無双5」のタイアップ企画も始まった。良い意味でJR東海らしくない。

 とにかく、「ずらし旅」の名前がうまい。いつもの混雑する時間帯を避けて「密をずらし」というけれど、当時の東海道新幹線はどの時間帯もガラ空きで、実質的に常にズレた状態だった。それを逆手に取り「ずらし旅はお得で賢い」というイメージ作りに成功した。

 「ずらし旅」のブランド力があるからこその「冷やし旅」。名前とは裏腹に担当スタッフの熱さが伝わってくる。今後「○○し旅」シリーズとして定番化するかもしれない。

大ヒットキャンペーンのずらし旅は公式キャラクター「ずらしmado(マドゥ)」も誕生。キャラクターボイスは声優の山下大輝さん。大ヒットアニメ『鬼滅の刃』では主人公を助ける珠代に仕える愈史郎役を演じた(出典:JR東海、ずらし旅キャラクター「ずらしmado(マドゥ)」

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