“鉄道観光ビジネス”再起動、失われた2年間をどう取り戻すのか杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/10 ページ)

» 2021年07月02日 11時46分 公開
[杉山淳一ITmedia]

JR東海「ずらし旅」第2弾は「冷やし旅」、「○○し旅」シリーズ化の予感

 6月21日、JR東海は「あいち冷やし旅キャンペーン」を7月から展開すると発表した。酷暑で知られる愛知県で涼しいスポットを巡る旅を提案する。詳細は、別記事「見据える先はジブリパーク〜 猛暑の愛知で冷やし旅? コロナ影響続くJR東海「奇策」の狙い」に譲るとして、このキャンペーンの前哨戦として2020年7月から展開している「ずらし旅」がある。「冷やし旅」の名づけは「ずらし旅」の語呂を踏まえたといえる。

「あいち冷やし旅キャンペーン」キャンペーンポスター(提供:JR東海)

 すでに語り尽くされているけれども、新型コロナウイルスの影響で東海道新幹線は大打撃を受けた。旅行需要の減退はもちろんのこと、ビジネス需要の消失が手痛い。出張が抑制され、オンライン会議、リモートワークの普及など、移動需要が消えた。そこで生み出された企画が「ずらし旅」だった。東海道新幹線の販売促進として、観光旅行需要に真剣に向き合った施策だ。

 東海道新幹線はビジネス需要が多く、近年の営業施策は「エクスプレス予約」などのリピーター獲得だった。もちろん旅行需要は認識していただろうけれども、京都という最上級の観光都市への需要が大きく、テコ入れする必要もほとんどない。

 関連会社のJR東海ツアーズと組んで「ぷらっとこだま」という格安クーポンを販売しているけれども、これはどちらかといえば「ビジネス客で混雑する“のぞみ”を避けて“こだま”に乗ってほしい」という施策でもある。

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