“鉄道観光ビジネス”再起動、失われた2年間をどう取り戻すのか杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/10 ページ)

» 2021年07月02日 11時46分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 沖縄県を除く緊急事態宣言解除、新型コロナウイルスワクチン接種の進ちょくを見越して、鉄道旅行ビジネスが活気づいてきた。冷え切った観光需要を「元通り」にするには、「元通り」の商品展開では足りない。そこで注目の事例を紹介しつつ、今後の新施策に期待したい。

受付開始から1分半で完売、鶴見線「工場夜景ツアー」

 日本旅行が企画し、7月31日に催行する「貸切列車で行く夜の鶴見線探訪 港湾・工場夜景の旅」は、6月25日15時の受付開始から1分半で完売となった。昨年12月に催行された同ツアーは3分で完売となり、当時も人気の高さに驚いた。2回目は前回の実績、内容が広まっていたため勢いがついたようだ。

鶴見線の4両編成を約90名で貸切。かなりぜいたくな旅だ。この205系電車は淘汰が進み、鶴見線の動向も気になる(撮影:日本旅行 山中章雄氏)

 ツアーは日帰りで、17時〜22時までの5時間にわたり、昭和の風景としてロケ地としても知られる国道駅、運河を見渡せる海芝浦駅などの名所を巡る。扇町駅では工場周辺を歩いて特徴的な工場夜景を楽しむという趣向だ。

 食事は工場に納品しているというお弁当屋さんから調達。三角おにぎり発祥の地という川崎ならではのアイデアである。泊まりがけで遠くに行くだけが旅ではない。その意味でも鶴見線は好立地といえる。

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