――― 実際の事業観点から見るホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaSの違いは何でしょうか。
ホリゾンタルSaaSはSalesforceなどの影響もあり、事業の組み立て方などがかなり確立しているように見えます。それにより、アーリーアダプターに対しプロダクトフィットをさせることができれば、順々にスケールをさせていき、IPOでの資金調達をもってレイトマジョリティーに広めていくなど、再現性高く事業を行える傾向にあると考えます。
一方で、バーティカルSaaSは顧客数が限られているため、比較的早い段階でマジョリティに対して拡販をしていかなければならず、顧客対象、売り方、プロダクトなども1〜2年で次々と変えていかなければなりません。
それゆえに業界に深く入り込むことができる面白さがあります。
拡大再生産ではなくより深く業界に浸透させることができるか、目まぐるしく次の打ち手を打ち続けられるかなど、組織力、経営力を試されていると捉えています。
――— バーティカルSaaSに対しては国内投資家のみならず、海外投資家からの投資意欲も高いと聞きます。どのような評価、フィードバックを得ているでしょうか。
バーティカルSaaSにおける海外投資家からの高い評価は実感するところがあります。
彼らはProcore(米国の建設業者向けSaaS企業)やToast(米国のレストラン向けシステム提供企業)といった成功事例を目の当たりにしているため、実感値を持ちながら日本のバーティカルSaaS企業に対し興味を持っているのだと思います。
彼らは業界でしっかりと認知される企業となる難しさと、その後の可能性を理解しているため、「足元のKPIよりもっと長期の視点で、腰を据えた成長を目指せ」といったアドバイスを送られることがあります。
向こう1〜2年ではなく、10年間その企業の株式を持ち続けるつもりで投資判断をしていることが、バーティカルSaaS企業などに対する高マルチプルの要因となっていると捉えています。
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