中小企業にとって、商品やサービスを世の中に認知させるのは容易ではない。良いものを作っても、認知の低さやブランド力の弱さから選ばれないこともある。
そんな問題に着眼し、コロナ禍という厳しい情勢の中でも日本の中小企業を盛り上げようとするプロジェクトが行われている。その名も「中小企業からニッポンを元気にプロジェクト」だ。
このほど開始したプロジェクトの第2期には、タレントの田村淳さん(ロンドンブーツ1号2号)、前田敦子さん、ウエンツ瑛士さんが協力。参加する150社(7月時点)の中小企業は、この3人の肖像権をWebサイトや広告、販促物などに活用できる。
通常、著名なタレントを活用するためには数千万〜数億円の費用が掛かる。さらに企画や交渉から実際に活用できるようになるまで、多くの時間と工数を要する。資金も人材も豊富な企業でなければ、実現は難しい。
しかし、このプロジェクトの傘に入ることで、中小企業でも費用や工数を抑えながら著名タレントの肖像権を活用できる。
プロジェクトを率いるのは中小企業のチカラ(東京都渋谷区)。人材事業を行うリアステージ内のプロジェクトとして始まり、本年6月に分社化した。中小企業のチカラ代表取締役およびリアステージ取締役社長の山下佳介さんは、こう話す。
「当社(リアステージ)の新卒紹介サービスは、中小企業を中心に活用されています。昨年新型コロナウイルスの感染拡大が始まり1回目の緊急事態宣言が発出したことで、1000社以上あった求人企業が250社ほどまで減少しました。中小企業の経済的ダメージを目の当たりにしました」
そんな中、リアステージはダメージを免れるどころか、好調な業績を収められたという。その要因が、タレントを活用したプロモーションだった。
「プロモーションに成功して昨年5月は前年比150%成長で乗り越えられました。ホリプロ所属タレントの大野いとさんをプロモーションに使った結果です。新卒人材紹介では学生の集客がとても重要ですが、他社との差別化が難しい面もあり、獲得単価(CPA)が上がる一方だった時期がありました。しかし大野いとさんの活用で、広告効果がとても上がったことにより、集客コストが半額程度になりました」
駆け出しタレントである大野いとさんを活用したことにより、多大な広告効果の向上を体験した山下さん。
一流タレントを使ったらもっと成果が出るだろう。しかし自社や今まさに困っている周りの中小企業では、一流タレントに依頼することは難しい。「今困難の中にある中小企業とタレントのパワーを掛け合わせることができないのか」──そう考えたことから、このプロジェクトは始まったという。
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