こうした発想から21年1月、中小企業からニッポンを元気にプロジェクトの第1期が立ち上がった。現在の第2期にも参加している田村淳さんの肖像権の活用のほか、田村さんも参加するイベントの開催など情報発信の支援や、「日本中小企業大賞」というアワードを創設するといった活動を行った。
第1期に参加した企業は48社。第2期は150社と、参加企業は半年で3倍以上に増えた。
山下さんは「第1期に参画した企業に紹介され、第2期に参加するという企業が知っている限りでも20〜30社ほどありました。参加企業が価値を感じてくれて、紹介してもらえたのだと思っています。良い意味での驚きがありました」と振り返る。
実際に第1期に参加し、田村淳さんの肖像権を活用した企業の中には広告のクリック率(CTR)が217%改善したという企業や、ランディングページからの申し込み率(CVR)が600%上がったという例もあったという。
その他にも採用がうまくいった、社員のモチベーションが上がったというような副次的な効果も見られた。
一方で、良いことばかりではなかった。最大の課題は、企業によってはこうしたプロモーションの機会を使いこなせなかったことだという。
当然、タレントの素材が活用できるからといって、すぐに業績が向上するわけではない。クリエイティブに反映し、広告効果の検証をするというPDCAを回す必要がある。
山下さんは「特にWebマーケティングの体制が整っていてはじめて成果が上がるものです。この点のギャップが、反省点でした」と話す。
「第2期からは反省を踏まえ、マーケティングの支援をする企業を紹介するサービスを始めます。『この分野に強い企業はA社、B社、C社』と目的別に選定をして、Webマーケティングに課題があるプロジェクト参画企業をマッチングします」と山下さんは意気込む。他にも、プロジェクト内の成功事例の共有なども行う予定だという。
もちろん、中小企業が抱えるのはこうしたプロモーションやマーケティングの課題だけではない。山下さんは「営業、販売面での課題、資金調達の課題、M&Aの課題、採用の課題、人材活躍組織を作るという課題……と、課題は多くあります。それらに応じたサービスを立ち上げて、全方位的に中小企業の支援をする会社にしていきたいです」と今後の展望を語る。
「僕たちだけの力では限られています。一方で、中小企業庁の村上敬亮さん(経営支援部長)が当社のイベントに動画コメントを寄せてくれ、国からの注目も感じています。このように、中小企業を元気にして日本を盛り上げようという官公庁、地方自治体、全国の中小企業、大手企業と多くの方々が、このプロジェクトに共感してほしいです。それが1000社、2000社、1万社……と増えて集まってきたら、本気で日本を元気にできそうだ──と、考えています」
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