体温で発電する「マザーブレスレット」にざわつく 開発の狙いは?充電不要(3/6 ページ)

» 2021年07月30日 08時00分 公開
[小林香織ITmedia]

シリコンバレーのスタートアップと協業して開発

 メディロムがウェアラブルトラッカーを開発した背景には、16年から提供しているアプリ「ラブ」の事業において、利用者の健康情報をうまく取得できない課題があった。

 「これまで、ラブの利用者には他社開発のウェアラブルトラッカーを付与して、健康情報を取得していました。しかし、約半数の利用者が充電後にデバイスを付け忘れたり、着脱を面倒に感じたりして、理想的な健康情報の取得にいたっていませんでした。自社で充電の手間がないデバイスを開発したいと考えていたところ、シリコンバレーに温度差発電技術に長けたスタートアップがあるという情報を入手し、アプローチしました」

シリコンバレーのマトリックス・インダストリーズが開発した、世界的にもレアな「熱電モジュール」

 その企業は、11年にシリコンバレーで創業したMATRIX Industries(マトリックスインダストリーズ)で、温度差発電技術では業界を牽引するリーディングカンパニーだという。同社は、温度差発電技術において最大の課題であった「発電量の少なさ」を解決すべく、発電量を最大限に増やす熱電モジュールを開発。マザーブレスレットは、この熱電モジュールを利用したことで、充電せずに使い続けられる仕様を実現できたのだ。

 「マトリックスインダストリーズは、自社でスマートウォッチの開発もしていますが、ビジネスモデルのメインはB2Bです。熱電モジュールを世界のさまざまな製品に応用することが彼らの狙いであり、当社のアプローチは、その狙いにピタリとハマったというわけです。当社と組むことで、日本市場でのマーケティングコストを抑えつつ、売り上げや認知向上を期待できる。彼らにとって、メリットの多いコラボレーションだったのでしょう」

 マザーブレスレットは、18年から企画をスタートさせ、3年近い開発期間を経て、21年の夏に製品として発表するところまでこぎつけたそうだ。

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