日本マイクロソフトだって悩んでいた 一筋縄ではいかぬデジタル人材育成をパーソルと協業で乗り切る!社会人になってから学ぶって、難しい(2/4 ページ)

» 2021年08月02日 11時13分 公開
[西田めぐみITmedia]

「言われたから何となく」学ぶ社員にどう対応?

 パーソルイノベーションは、パーソルグループの一員として新規事業創造をミッションに事業を展開している。伊藤氏がいうコーチングとは、パーソルイノベーションが展開する、リスキリング特化型の法人向けオンラインコーチングサービス「学びのコーチ」、そこで採用されている手法のことだ。

 パーソルイノベーション取締役執行役員の岩田亮氏は、リスキリングにおける課題について、「なぜ、何を、どうやるのかという、目的や道筋を明瞭にすることが重要です。会社がこうしたいと考えていても、社員にその意図が伝わらないことは往々にしてあります。そうなると、実行したところで“やらされている感”が拭えず、成果や継続率につながりません」と話す。

photo パーソルイノベーションで取締役執行役員を務める岩田亮氏

 リスキリングを目的とした集合研修では、集中講義と自己学習期間を経て受験にのぞむのが一般的なフローだ。しかし、集中講義は受け身になりがちで、自己学習期間も自己努力に任せられることが多いため、モチベーションを上げられず“その場限り”の学習になりやすい。

 学びのコーチは、“学び”を個別最適化するというコンセプトのもと、「パーソナライズされたキャリアコーチング」「ラーニングカリキュラム構築」を軸に、リスキリングの課題解決を図ることを目的としている。具体的な取り組みについて、事業責任者を務める柿内秀賢氏はこう話す。

 「例えばインフラエンジニアの方にクラウドを学んでもらう場合、『なぜ、今それをやるべきなのか』という問いに対して『何となく』と答える方は多くいます。しかし、クラウドが社内に普及するとどうなるのか? 自分の仕事とどうリンクするのか? キックオフの段階でキャリアコーチとの面談を通し“学ぶ動機の整理”をすることで、リスキリングへの理解を深め、自分ごと化した学習へつなげやすくなります」

photo コーチングにより、企業のリスキリングをトータルで支援。企業や社員と面談を行うことで、学びの動機付けやラーニングカリキュラム構築をサポートする

 ラーニングカリキュラム構築では、企業がどのような人材育成を目的にリスキリングを実施したいのか、ヒアリングすることで各社に最適なリスキリングのカリキュラムを組み立てるという。日本マイクロソフトとの協業プログラムでいえば、ベースとなるのはMSラーンだが、Microsoft認定資格および試験はロール(職域)、レベルなどで種類が細かく分かれており、必要なスキルも異なる。いきなり高度クラウド人材の教材から始めていいのか、一歩手前のクラウド概念から始めるべきなのか、ここでもコーチング手法が生かされる。

 とはいえ、学ぶ動機付けをし、最適なカリキュラムを構築したとしても、そこはやはり社会人のリスキリングである。仕事が忙しいと、「今日はサボっちゃおうかな」という邪念が生まれるのではないか。両社では、意欲的かつ継続的な学びを支えるためにも、2つのポイントを重視しているという。

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