トップインタビュー

プロダクトアウトの罠にハマった「象印」のリカバリー戦略家電メーカー進化論(5/8 ページ)

» 2021年08月16日 07時00分 公開

 現在、象印には経営方針『BRAND INNOVATION(ブランド革新)』がある。そこからのドリルダウンとして、19年から中期経営計画「ADAPT」という3カ年計画を立てたが、コロナ禍による世界情勢の変化により一部修正され、現在21〜22年度分がPhase2として進行中だ。

中期経営計画「ADAPT」では、多様性への適用を目指す

 ADAPT Phase2の重点取り組みに「生活者接点の強化」「新たなファン層の獲得・拡大」という項目がある。象印の企業イメージを調査したところ、若年層の認知・評価が低いという結果が出たためだ。

 「中期計画では、新商品の開発や「おいしいごはん」を軸とした新規事業を生み出す垂直的拡大と、既存の商品レンジを広げ、販路を拡大する水平的拡大をテーマに掲げています。当社の経営はこの10年間保守的だったので、攻めに転じるために、商品レンジの拡大を目指した商品として、STAN.や一昨年発売した二重反転ファンを採用した空気清浄機などを開発しました」(宇和氏)

 そしてもう一つの取り組みが、利用者との接点の強化だ。18年より始まった「ZOJIRUSHI オーナーサービス」では、交換部品の割引購入や、オーナー限定のイベントの参加や製品モニターなど、多くの特典が用意されている。このような取り組みにより、象印のファンを獲得するとともに、カスタマーインのものづくりにつなげる試みを行っているという。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.