ハラスメント相談窓口の設置については、大企業では既に2021年6月から義務化されていますが、中小企業では22年4月1日から義務になります。
その根拠となる「労働施策総合推進法」には、ハラスメント対策について次のように定められています。
事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない
中小企業では「相談窓口を置いただけで義務を果たしていると勘違いしていて、実際は全く機能しておらず、相談窓口が絵に描いた餅になっている」というのはよくある話であり、「設置している」とは甚だ言い難い状況も散見されます。
相談窓口が設置されていると認められるためには、前記条文のマーカー部分にある「当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」をすることが重要なポイントです。具体的には
――といった取り組みを指しています。
相談窓口の設置は会社に課せられた義務です。義務を怠った場合には、当然、法律違反として処分の対象になります。処分の内容は、厚生労働大臣からの勧告や企業名公表といった社会的制裁措置です。
企業名が公表されれば、間違いなく企業イメージはダウンすることになるので、人材確保困難や株価下落など、経営へのインパクトは計り知れません。
多くの中小企業では、既に義務化されているセクハラ・マタハラ対応により、ハラスメント相談窓口の設置自体は行われています。ただし、相談窓口が有効に活用されておらず、機能不全を起こしている会社が散見されます。貴社でも「相談がないこと=ハラスメントがないこと」と捉えていないでしょうか。
では、社員が相談窓口を利用しない理由は何なのか? 理由はいろいろ考えられますが、主なものを4つ挙げてみました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング