いかに病のある人をインクルージョンする組織にするのか カルビーの組織開発社員の病と人事(4/4 ページ)

» 2021年09月01日 07時00分 公開
[リクルートワークス研究所]
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誰もがありのままを開示していいと思えるように

 会社に、あるいは職場に自らが罹患したことを話したくないという人もいる。「言いたくないという人がいても、その本人の考え方は尊重したいと思っています。ただ、情報共有があったほうが周囲の支援を得やすいので、相談ができる産業保健スタッフの窓口を整備したり、“言いやすい風土づくり”にも力を注いでいます。やはり、鍵を握るのは上司ですから、管理者には1on1の研修やハラスメントの研修で、組織の心理的安全性の重要性を繰り返し伝えています」(武田氏)

 例えば「失敗談の共有をお願いしているのもその1つ」(武田氏)だという。「日常のマネジメントのなかで、評価者としての上司ではなく、一人の人間としての姿を見せてほしいのです。それは自分を低く見せるということではなく、自分自身がここまで成長してきた道のりを正直に、隠すことなく話すことが重要だということ。それを通じて、誰もが“自分は自分のありのままを開示していい”と思えるようになることを望んでいます」(武田氏)

 武田氏は自身の経験と、がんを治療するプロセスで取得した産業カウンセラーの知識を踏まえ、がん患者のカウンセリングなどの支援活動を続けている。「特に、企業社会のなかで競争の意識を持ってきた男性は、がんに罹患しても誰にも言えずに苦しんでいるケースが多くあります。話すだけで、その人の目が驚くほど生き生きとするのをこれまでも数多く見てきました。私はその瞬間がとても好きです」(武田氏)

 本記事は『Works』167号(2021年8月発行)「真に有効な支援ができる組織へ それを阻む壁をいかに乗り越えるか」より「組織開発:いかに病のある人をインクルージョンする組織にするのか」を一部編集の上、転載したものです。

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