3年間で大改革の「タイガー」、きっかけは元ソニーの女性役員:家電メーカー進化論(5/7 ページ)
「次の100年の方向性について話したとき、サステナブルであることが重要視されると考えました。そこで紛争鉱物・環境への負荷ができるだけない製品製造と経営にシフトすることを提案しました。18年当時はまだSDGsなんて言葉も流行っていない時期だったんですが、菊池社長もその方針を『いいんじゃないか』と言ってくれました」(浅見氏)
もともとタイガーでは、こういった環境・人権・健康・安全といった課題への対策は、部署ごとに個別に行われていたという。それらを取りまとめて言語化したのが、浅見氏だった。
「社内からは、機能をうたわない「4つの約束」のプロモーション展開に対する不安の声もありました。ただし根本的な反対ではありませんでしたし、今の時代に必要とされていることをやるという役員会の方針もあり、戦略そのものに対する反発はありませんでした」(浅見氏)
単に良いものを作るだけでなく、何を売るか、どういう製品を作っているかというメッセージを明確にしたことで、売り上げは大きく改善していく。リニューアルしたECサイトには限定でアートボトルなども用意。価格だけではない価値を伝えることにより、それまでの8年分のオンライン売り上げをたった1日で記録し、想定の約780%の売り上げを達成したこともあったそうだ。
「これまでのタイガーはいわば、ニコニコと笑って黙っている良い人でした。ですが、この人はこんな風にいい人ですよと説明しないと価値は伝わりません。モノづくりや人権や環境へのこだわり、品質への追求心も大変強くて良い商品を作っているのに、知られていないという状態でした。それをマーケティングすることで周りに認知してもらえたことで、売り上げにつなげられたのだろうと感じています」(浅見氏)
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