中国当局は8月下旬と9月初めの2回に渡り、エンタメを規制する通知を発表した。まずインターネット行政を管轄するインターネット情報弁公室が8月27日、10項目からなる「ファン経済の無秩序の規律化に関する通知」を出した。大まかな内容は以下のようなものだ。
- スター芸能人(グループ含む)のランキングを全てやめる。音楽、映画作品のランキングは、芸能人の姓名など個人の特定につながらない表現に限り許可する。
- 音楽・映画のランキングは「いいね」「レビュー」などの比重を減らし、作品の方向性や専門性を重視する。ファンの数や金銭の力で順位を上げるような機能をつけてはならない。
- タレント事務所の管理を強化する。プラットフォームは事務所のネットでの活動の管理責任を負い、アカウントの認証、コンテンツの内容、危機管理、ビジネスプロモーション、ファンマネジメントなどのルールを整備する。ファンをあおる行為やファン同士のトラブルなどはアカウント制限などの措置を取る。
- ファングループのアカウント管理を強化する。タレントのファングループ、後援会アカウントはタレント事務所の認証がないと開設できない。
- ファン同士の誹謗中傷、フェイクニュースの発信などを禁じる。タレントを応援するためにお金や人を集める、ランキングを上げる、ノウハウを共有する、タレントのスキャンダルを論じる、注目ニュースを拡散することなどを主な活動とするファンの掲示板は閉鎖する。
- タレントの作品、グッズなどを販売する際に、ファン個人の購入数、貢献値などの数字を公表してはならない。購入数、金額のランキングや消費を刺激するプロモーション活動も禁じる。
- インターネット配信番組での、お金で投票権を買う機能や商品を購入して投票する手法を禁じる。
- 未成年がタレント応援のために消費をしたりファングループの管理人になることを禁じる。未成年を組織してオンラインイベントを実施するなど、未成年の通常の学習、休息を妨げるような行為は厳禁。
- テンセント、株価急落に続き「未成年者保護法違反」で提訴。毒物ゲーム「王者栄耀」が標的に
テンセントの株価が8月3日、一時10%下落した。中国政府系メディア・経済観察報による、同社の大ヒットオンラインゲームを名指しした批判記事が原因だ。同ゲームはこれまでも国営メディアに毒物扱いされてきたが、株価を直撃したのは今回が初。投資家は当面、国営メディアの論説に振り回されるのかもしれない。
- ビットコインは目の上のたんこぶ、人民銀幹部「暗号資産は投資商品」発言の真意
人民銀の幹部が4月18日デジタル資産について「投資商品」との見解を示した。仮想通貨交換所・コインベースの米国上場、ビットコインの値上がりも重なり、中国でも仮想通貨“解禁”への期待が高まっている。しかし仮想通貨取引・利用を全面禁止している中国政府が、デジタル人民元以外のデジタル通貨を許容することは当面なさそうだ
- フィンテック「金縛り」のアリババ、市場予想を上回る決算発表 〜今後はローエンド市場を強化
アリババグループは2月2日、2020年第3四半期決算を発表した。中国当局の監視が厳しくなる中、売上高は前年同期比37%増の約3兆5600億円、純利益は同52%増の約1兆2800億円と、市場予想を上回るものとなった。今後は、コロナ禍の消費変化に対応する新事業やのローエンド市場を強化する方針を強調した。
- 上場延期で衝撃、中国・アントを知る5つのキーワード
史上最大のIPOと注目されていた中国アリババの金融子会社アント・グループの上場延期が11月3日に発表された。ジャック・マー氏ら幹部3人が前日に金融当局の指導を受け、上場計画の見直しを迫られたことが理由だ。本稿ではアントの歴史や事業構造、今後の見通しなどを5つのキーワードからひも解いていく。
- 「6年前のM&A」でアリババに罰金、企業分割もちらつかせる中国当局の真意
アリババなど中国大手IT企業3社が12月14日、独占禁止法違反で50万元(約800元)の罰金を課せられた。いずれも過去のM&Aを当局へ申請しなかった点が問題視されている。世界ではGAFAへの規制が強まっているが、中国をデジタル大国に押し上げた立役者であるメガIT企業に対しても、同様に当局の姿勢が締め付けへと変化している。
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