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» 2021年09月15日 05時00分 公開

社員を「子ども」扱い? 野村HD「在宅勤務中も喫煙禁止」の波紋そのマネジメントは正しいのか(2/4 ページ)

[川上敬太郎,ITmedia]

 在宅勤務する社員は、他社員とは離れた場所で働いています。そのため同僚たちが受動喫煙してしまう心配はありません。また、仕事しながら座席上で喫煙するのであれば、離席時間による臨時休憩も発生しないはずです。

 それなのに、在宅勤務者にまで禁煙を要請する必要はどこにあるのでしょうか。在宅勤務だと喫煙による周囲への影響は出ないことを前提に、「喫煙者自身の健康」「組織の統制」「業務への支障」という3つの観点から考察してみたいと思います。

画像はイメージ、出所:ゲッティイメージズ

(1)喫煙者自身の健康

 内閣府が制作した動画「たばこの煙の恐ろしさ 吸ってる人にも吸わない人にも知ってもらいたいこと」では、喫煙者は非喫煙者に比べて、寿命が10年縮まるという英国の調査結果が紹介されています。また、ガンや糖尿病、心筋梗塞などさまざまな病気と喫煙との関連性も指摘されており、喫煙自体が体に悪い影響を及ぼすことは既に広く知られています。健康経営を掲げる会社としては、喫煙者自身の健康を心配し、配慮しようとするのは当然のことだと思います。

 しかし、勤務時間中だけ禁煙にしたところで、その分勤務時間外に吸うタバコの本数が増えてしまえば意味はありません。また、健康を害するものは喫煙だけとは限りません。運動不足や深酒、睡眠不足なども影響します。もし会社が社員の健康を本気で管理しようとするなら、社員の生活にまで踏み込まなくては実効性は見込めません。喫煙者自身の健康という観点から禁煙要請しても実効性は薄いとすると、同僚に受動喫煙させる可能性がない在宅勤務者への禁煙要請に意味があるのか疑問を感じます。

(2)組織の統制

 それに対し、組織の統制という観点においては、企業秩序を維持する意味での利点はありそうです。タバコはコーヒーや紅茶のような、嗜好品の一種です。在宅であっても勤務中なら通勤時と同じく禁煙というルールを定めて区別しない方が、組織内で不公平感は生じないはずです。また、少しうがった見方をすれば、在宅勤務者も含めて禁煙要請することで健康経営の推進に敏感な株主や投資家たちに対するアピールとなり、好意的に受け止めてもらえるかもしれません。

 しかしながら「自宅で喫煙する分には誰にも迷惑かけないのだから個人の自由だ!」と考える社員からは、融通が利かない組織だと反発を招いてしまう可能性があります。また、健康を害するとはいえ、法律で認められている個人の嗜好を認めないスタンスは、価値観の違いを尊重しようとする時代の流れに逆行している印象も与えてしまうかもしれません。

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