コンビニも注目する「カレーパン」ブームのなぜ 専門家が指摘する“必然性”とは火付け役はどこ?(3/3 ページ)

» 2021年10月22日 08時30分 公開
[熊谷紗希ITmedia]
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コンビニ各社の戦い方は?

 ファミリーマートの主力商品は「ファミマ・ザ・カレーパン」(130円)。21年3月にリニューアルし、発売から2週間で200万食を突破。現在までの累計販売数は1300万食となっている。

 「当時、パン販売の核となる定番商品の強化を図っていました。その中で、カレーパンは市場で人気定番メニューではあるものの、弊社の惣菜パンの中では売れ行きは中位で売れ筋商品ではありませんでした。商品を分析した結果、おいしくなる可能性を秘めていることが分かったのと、近年のカレーパンブームにも後押しされ、リニューアルすることになりました」(広報担当者)

1300万食を突破した「ファミマ・ザ・カレーパン」(画像:ファミリーマート提供)

 具材をビーフカレーに統一、スパイスを後入れし、生地の国産小麦粉の配合を調整するなどの改良を重ねたという。リニューアル前は、中堅程度だったカレーパンは同社が販売する約100種類のパンの中で3番目に売れている商品に成長した。

 「ミニファミマ・ザ・カレーパン3個入」(150円)という小さいサイズも提供する。また、「半熟たまご入りカレーパン」(180円)などアレンジを加えた商品も販売している。

 「ファミマ・ザ・カレーパン」一点集中のファミマと異なり、ローソンのカレーパンはバラエティに富んでいる。現在、販売するカレーパンは全部で4種類。定番から糖質を抑えたもの、半熟卵入りなどお客のニーズに合わせて商品を開発しているという。

ローソンの主力商品「スパイス香るビーフカレーパン」(画像:ローソン提供)

 最も売れているのは定番の「スパイス香るビーフカレーパン」(130円)。毎年リニューアルを重ねており、前回リニューアルは21年2月だった。9月時点で、ローソンが販売するパン全体の売上ランキングでは、4位にランクイン。17種類のスパイスを加えたり、隠し味に昆布出汁を入れたりすることで、旨みを引き立てている。

 同社はラインアップの多さについて、「秋冬はパン人気が高まる傾向にあります。カレーパンを含むパン全体でいろいろな種類の商品展開にチカラを入れていきます」と話した。

 セブンは「揚げたて」で対抗する。6月から東京都内で「お店で揚げたカレーパン」(149円)の販売を開始した。袋入りのカレーパンとは具材や生地を変えているという。現在は神奈川県と東海エリアにも販売エリアを拡大しており、今後もエリアを拡大していく予定だ。

 レジ横のショーケースに並べられており、今までパン屋や専門店でしか味わえなかった「揚げたて」を訴求する。売上数は非公開としているが、幅広い層から好評だという。

セブンの「お店で揚げたカレーパン」(画像:セブン‐イレブン・ジャパン提供)

 日本人が好きなカレーが入っていて、片手でサクッと食べられるカレーパン。まだまだブームは続くだろう。パン屋に専門店、ホテルにコンビニとプレイヤーがひしめく中で、「カレーパンといえばあの店」の称号を勝ち取るのはどこだろうか。

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