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部下を自殺にまで追い込んでしまう「叱責妄信型」上司が犯している3つの過ちトヨタ販売店、佐川急便でも(2/4 ページ)

» 2021年11月10日 05時00分 公開
[川上敬太郎ITmedia]

 「何度も同じ失敗を繰り返すなんてけしからん。もっと叱責して分からせるしかない」

 「改善しようとしないなんてけしからん。もっと叱責して分からせるしかない」

 「自らアドバイスを求めてこないなんてけしからん。もっと叱責して分からせるしかない」

 このように考える叱責妄信型上司は、目に見えて効き目が感じられるようになるまで部下を叱責し続け、どんどんとエスカレートさせていきます。確かに、中にはどれだけ叱責しても意に介さない部下がいるかもしれません。しかし、一度の叱責で、既に心の中に深いダメージを受ける部下もいます。

 心にダメージを受けた部下は、叱責を受けるたびにダメージを積み重ねていきます。これがナイフの刺し傷のように目に見えるダメージであれば、上司も多少は配慮して叱責にブレーキがかかるはずです。しかし、心のダメージは目に見えないため、叱責妄信型上司は心のダメージの存在に気付くことなく度合いを見誤り、叱責を重ねてしまいます。その叱責が、まだ癒えていない刺し傷にナイフを突き立てているとも知らずに。

 一方、部下は叱責を受けながら上司とは全く別の思いで事態を受け止めています。

 「何度も同じ失敗を繰り返してしまって申し訳ない。自分はダメな人間だ」

 「うまく改善できなくて申し訳ない。自分はダメな人間だ」

 「どうアドバイスを求めて良いかも分からず申し訳ない。自分はダメな人間だ」

 謝罪を繰り返しながら自分で自分を責めるようになり、その行為が心の中にさらなるダメージを蓄積させていきます。そして、家族など周囲にいる人たちが様子の変化に気づいて声をかけたとしても、心配をかけないよう「大丈夫」と気丈に振る舞い、さらなる心配をかけてしまわないよう、誰にも相談せず殻の中に閉じこもり、自分の手でどんどん逃げ道を塞いでいってしまいます。

画像はイメージ、出所:ゲッティイメージズ

 そんな部下の気持ちとは裏腹に、心のダメージを見誤っている叱責妄信型上司は、本来であれば救いの手を差し伸べ、手当てしてあげるべきところを「叱責が足りない」「心を鬼にしなければならない」などと叱責をさらに強めます。

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