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「優秀な女性社員が、管理職をやりたがらない問題」は、こう解決する管理職の女性は「スーパーウーマン」?(3/3 ページ)

» 2021年11月12日 10時30分 公開
[高田優ITmedia]
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自己効力感と4S

 では、男性マネジャーから、この観点でリーダー候補の女性部下をどう支援できるでしょうか。1つはリーダーの疑似体験をしてもらうことです。マネジャーという役職ではないけれども、プロジェクトなどでリーダーを任せてみる。そこで小さな成功を体験してもらい、自分はマネジャーもできるかもしれない、と自己効力感をつけてもらうのは有効です。

 もう1つはお互いに棚卸しをしてみることです。部下はマネジャー業務をとてつもなく難しく大変なものであると誤解しているケースがあります。そのため、実際のマネジャー業務を可視化し、かつそのメリットを伝えることが重要です。例えばマネジャーだからこそ、自分の仕事量や納期も調整しやすく、融通が利きやすいということもあるでしょう。

photo リーダー候補の女性部下を、どう支援していくか(画像はイメージです。提供:ゲッティイメージズ)

 また棚卸しは部下のリソースという観点でも行います。その際、アメリカを代表するキャリアカウンセリングの理論家・実践家ナンシー・K・シュロスバーグが提唱している4Sというフレームワークが有効です。これは転機が訪れた際にそれをどう乗り越えるか考えるために作られたもので、Situation(状況)、Self(自身)、Supports(支援)、Strategy(戦略)に基づいて、どんなリソースが自分にはあるのかを検討してもらいます。これらの相互棚卸しをすることによって、「意外とできる」という気付きを与えられ、マインドセットが少し変わるかもしれません。

日々のコミュニケーションが成功の鍵

 そして何よりも重要なのは、部下が成長しているということを具体的に指摘し、気付かせてあげることです。人は自分自身ではなかなか成長には気付かず、いつまでも「まだできない」と過小評価してしまう傾向があります。日々のコミュニケーションを通して、具体的な成長をフィードバックすることは、大きな自己効力感につながります。

 その上で、いつでも支援できる体制があること、完璧でなくてもまずはやってみようということを伝えておくことで、部下にとってもチャレンジしやすい環境が整うと思います。完璧でなくてもよいということをお互いが認識できて、機会が与えられていれば、自然と女性リーダーは組織の中で育ち、良いロールモデルが生まれ、好循環を作ることができるはずです。

著者プロフィール

高田優

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エンワールド・ジャパン株式会社 小売り・消費財部門 セールスチームマネージャー

日系酒類メーカーでの海外営業経験を経て、2018年3月エンワールド・ジャパン入社。現在は、小売り・消費財領域を担当するセールス&マーケティング部門のチームマネージャーとして、外資系企業、日系グローバル企業を中心に幅広く採用・転職を支援。MBA、キャリアコンサルタント国家資格保有。


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