「BALMUDA Phone」の真価は1年後に分かる? 社長がこだわった「ざらっとした質感」(3/3 ページ)

» 2021年11月30日 11時26分 公開
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端末やアプリの使い勝手には好感触

 BALMUDA Phoneの製品発表会で寺尾氏は、ソフトバンク 常務執行役員の菅野圭吾氏とのトークセッションも含め1時間に渡って、バルミューダの成り立ちからBALMUDA Phoneのこだわり、今後の事業展開まで熱心に語った。

 「人はスマートフォンにとらわれすぎている」「人はスマホの画面を見るために生まれてきたのではない」といった寺尾氏の指摘には納得でき、実際にBALMUDA Phoneに触れてみると、その持ちやすさ、確認や操作が素早くできることを重視したアプリの使い勝手も好感触だった。ただ、それでも値段が高いと思ってしまう筆者は、スマートフォン業界を取材するライターとしての意識が強すぎるのかもしれない。

photo BALMUDA Phone

 スマートフォンに求める価値観は、人それぞれだ。寺尾氏は画一的と見ているスマートフォンだが、Android端末には、いわゆる“ガラケー”っぽい折り畳みケータイもあれば、ディスプレイ自体を折りたためるフォルダブルもある。カメラを3つも搭載しているのに5万円台で購入できる中国製スマートフォンもあれば、レンズは1つなのに1インチセンサーを積んで20万円近くする高級端末もあり、さまざまな価値を求める人たちに多彩な選択肢が用意されている。

 BALMUDA Phoneもその選択肢の1つというだけだ。あえて機能を抑えたコンパクトなスマホ、しかもあのバルミューダが作ったとなれば選ぶ人もいるだろう。実際、バルミューダの直販サイトでは、ホワイトモデルの初回出荷分がすでにさばけたようで、12月出荷予定となっている(2021年11月下旬現在)。

“バルミューダらしさ”の確立を

 一方、全体の出荷台数は、2021年度の売上予想の上方修正額と端末代から計算して、約3万台とみられている。これは決して多くない。バルミューダ自身、最初からたくさん売れる商品だとは思っていないのだろう。とはいえ、IT機器を販売していくことになるので、OSアップデートや独自アプリの更新などはしっかりやっていく必要がある。独自アプリを提供していたメーカーが、OSアップデートに対応させる難しさから提供を止め、Android標準アプリが主流になっているのが現状だが、この辺りは端末の製造を担当した京セラやソフトバンクもサポートするのだろう。

 筆者自身は、時を経て味わい深くなっていくBALMUDA Phoneに期待したい。かつてのケータイは筐体が樹脂製で、キズが付くと途端に古くさくなった。ガラスや金属になったスマートフォンも、キズが付くとがっかりするのは変わらない。それが革小物やジーンズのように、長く使うことでキズすらも味わいになっていくのであれば、端末を2年、3年、それ以上使う現在の利用スタイルにマッチする。

 また、BALMUDA TechnologiesはこのBALMUDA Phoneを皮切りに、今後も製品を増やしていくことを明らかにしている。複数の製品がそろうことでIT機器業界にも、バルミューダが目立ってくるかもしれない。日本メーカーの携帯電話ブランドが減ってしまった中で、バルミューダは新しい立ち位置を確立できるか、期待したい。

photo ケースや保護フィルムなどのアクセサリーも用意する。ケーブルにもバルミューダのロゴ入りだ
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