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離職率は2% 「退職ラッシュ」が続く中で、社員に選ばれる企業の舞台裏米国は“大退職時代”(3/3 ページ)

» 2021年12月28日 07時00分 公開
[秋山未里ITmedia]
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──多くの社員が入社し、そして離職率も低いという背景には、どのような秘訣があるのでしょうか。

 たくさんの施策を行いましたが、特別な秘訣や、この一策に尽きるというようなものはありません。ただ、常に「共感する」ということを念頭に置いて施策を考えていました。

 パンデミックが身近な現実に起きてしまったわけです。不確実な世の中で、みんな怖い思いをしましたし、大切な人を失ってしまうこともある。そんな中、大切なのは「共感をすること」だと思いました。

 仕事と人生は一つで、切り離すことはできません。ですから、「仕事をするときは、コロナのことを忘れてくれ」と強いることはできないわけです。だからこそ、社員の状況や考え方にどう共感していけるかを考えました。それが功を奏して、離職率が2%と低い数値だったのだと思います。

──成長スピードの速いIT業界やスタートアップ企業では、離職率は一定の数値を保ち、低すぎない方が良いという考え方もあると思います。2%という数値に対し、どのように考えていますか。

 コロナ禍で、かつ当社のナスダック市場へのIPOもありました(2021年7月)。こうしたことが重なり、社員が安定を望んだ結果として離職率が下がったのではないかと考えています。

 ただ、離職率2%という状態がそこまで健全なことだと捉えてはいません。

 通常であれば、新しいスキルを持った人材が入社し、一定数の人材は出ていくということが望ましいと思います。22年以降には、普通の数字に戻っていくのではないかとは思っています。

 いずれにしても、この不確実な「大退職時代」ともいわれている中で、従業員が「ここにいたい」と思える会社であったのであればうれしいです。

──日本もオールドファッションな体制の企業が多く、コロナ禍での働き方で多くの人がもがいている状況です。こうした中で、うまく働き、組織作りをしていくためには何が必要でしょうか。

 一番大事なのは適応力だと思います。実際に今後何が起こるか、コロナの後に環境がどう変わっていくのかなどが分からない中で、最良のことを情報を集めて決めていく必要があります。自分の立ち位置をきっちりと定めた上で、何か変化が起きた時に対応することが重要だ思います。

 組織作りには、まず計画を立てて、アイデアを出す。そして社員の意見や市況を鑑みて、変更や修正をしていくことが重要です。いくら計画を立てても、何か起こったら変更する、というのが現実です。事前に予測して考えて、社員に聞いて、反応を見て──フレキシブルに行動することが大事だと思います。

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