株主優待を実施する企業は1500社前後あり、上場企業全体の4割にのぼる。プレミアム優待倶楽部はまだ70社強の導入であり、事業拡大の余地は大きい。大きなターゲットとなるのは、優待としてクオカードを付与している企業だ。
杉本氏は「クオカードからのチェンジが相当数あった」と話す。クオカードはポイントに比べて柔軟な還元設計が難しい。さらに、クオカードから変えるとコストも下がる。ポイントの場合、行使された分しかコストにならず、失効もあるからだ。現在、行使率は70%程度で、企業の引当金もその率で済むことになる。
一方で、機関投資家からは株主優待自体をなくすべきだという圧力も企業にかかる。株主優待は保有株式数に比例して増加するものではなく、小口の個人投資家のほうが利回りが高くなるからだ。
しかし、杉本氏は優待は機関投資家の利益にもなると話す。「機関投資家が言うように株主平等原則に反しているといえばそうだ。しかしマーケティング的発想からすれば、全体に薄く配当などで還元するよりも、一部の個人株主に例えば3%分を優待で還元したほうがパフォーマンスは上がる。出来高に大きく影響するし、株価が30〜40%反応する事例もある。これによって、機関投資家にも間接的にメリットがある」
実は日清食品や味の素といった大手企業もプレミアム優待倶楽部の仕組みを使っている。カタログギフト形式ではなく自社商品を株主優待とし、ポイントの仕組みも裏側に隠して見えないようにしている。優待に関わる業務の効率化と、株主情報をデジタル化して双方向のコミュニケーションを取っていきたいという狙いだ。
実は遅れていた株主情報のデジタル化。ポイント型オンライン優待サービスの普及が、その突破口になるかもしれない。
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