つまり、中国滞在中に何かを埋め込まれてしまえば、帰国後も狙われることになるだろう。アスリートに限って言えば、今後、選手やチームが「どんな有望なコーチをつけるのか」「スキージャンプでどんなスーツを開発しているのか」といったやりとりが漏れることがあり得るだろう。
事実、FBI(米連邦捜査局)は「滞在中に監視ツールや悪意ある不正なコードを埋め込まれるリスクが高まる」と警告して、国民にスマートフォンなどデバイスを中国に持ち込まないよう求めているくらいだ。
こうした危険性は、五輪に限らず普段から中国に行く際にも警戒されてきた。というのも、そもそもサイバーセキュリティや安全保障の観点から見ると、中国の現地ネットワークに日本から持ち込んだデバイスを接続する場合には細心の注意が必要となる。
中国には17年に制定された法律「国家情報法」があり、その7条と14条によれば、中国企業や個人は中国情報機関の要請があれば情報提供をする義務がある。さらに情報機関に協力した事実も内密にしておく必要もある。
つまり、中国国内の通信システムなどにアクセスすると、デバイスなどの情報は知らぬ間に当局の手に渡る可能性があるのだ。少なくとも、当局は、求めれば手に入れることができる。
これはビジネスパーソンにも無関係ではない。特に、優れた技術や情報を持っている場合は狙われる危険性がある。そんなことから、米政府の独立機関である米連邦通信委員会はいくつかのアドバイスを出している。
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