クラファンで3億6000万円を集めた製品は、なぜ謝罪に追い込まれたのか「優良誤認」の声も(4/6 ページ)

» 2022年03月19日 08時00分 公開
[小林香織ITmedia]

中国ECで類似品が激安で販売されている

 もう1つ、サポーターや消費者が指摘していたポイントが、中国のECサイトで類似品が激安価格で販売されていることだった。

「ザ・ウォッシャー・プロ」の類似品を販売する中国のECサイト「AliExpress」より

 「AliExpress」(アリエクスプレス)という中国のECサイトでは、「ザ・ウォッシャー・プロ」と同スペック、ほぼ同じデザインの海外仕様版が、3月中旬時点で189.54ドル(約2万2000円)で販売されている(送料別)。「ザ・ウォッシャー・プロ」は、もっとも安いリターンでも42%オフの5万7700円(定価9万9600円)となり、定価で比較するとアリエクスプレスの価格は4分の1以下となる。

 サポーターからは、この価格差について「納得感がほしい」「高いと感じる」という声や、「ブランド社のオリジナルブランド製品の類似品が、中国のECサイトで販売されている背景を知りたい」という質問があがっていた。

 これについて、ブランド社は活動レポートやサポーターへの個別回答を通して、以下のように説明している(一部抜粋)。

 『日本オリジナル版を開発・製造するに際し、PSE認証や電波法の型式指定番号を取得する上で必要となる試験データ費用、各種資料作成費用、プラットフォームへの販促費、消費税、共同開発元への技術使用料及び諸経費といった費用がかかっており、海外類似製品と比べますと販売開始までに要した費用が大きく異なりますため、最終の販売価格に差異が生じておりますこと、ご理解賜れますと幸いです』

 『「The Washer Pro」はプロジェクト期間中Makuake様でしかご購入できません。Makuake様以外で販売されている模倣品は弊社とは一切関係がございません』

 『海外サイトで見受けられる製品は、電圧や電流が異なるため、国内で直接使用できません。また、電気用品安全法や電波法の認証されておりません。ですので、弊社の製品と、全くの別物と認識していただければ幸いです』

※「ザ・ウォッシャー・プロ」のプロジェクトページから引用。誤字脱字は、そのまま掲載

 上記の回答でブランド社が指摘しているとおり、海外仕様の製品は、電波法の観点で日本国内で使用すると違反になる可能性があるそうだ。

 一部のサポーターからは、「ザ・ウォッシャー・プロ」のプロジェクトが開始される以前から、中国のECサイト上で類似品が販売されていたことを指摘する声もあった。これについてブランド社に尋ねたところ、以下の回答だった。

 「開発パートナーである企業により、中国のECサイト『Taobao』で、当社がオリジナル性を加える前のものが出品されていたことを把握しています。しかし、中国市場で製造パートナー企業が販売することを弊社として何か言える立場ではないので対処はしていません」

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