筆者は22年1月、ブランド社の広報担当者に開発経緯などを取材し、記事を掲載している(関連記事)。取材では「1年間かけて2社で共同開発した」との話があったが、後に「開発背景にまつわる内容を削除してほしい」といった依頼があった(その依頼には応じていない)。
「ザ・ウォッシャー・プロ」という製品は非常にユニークであり、これまでの食洗機の概念を変えるほどインパクトがあった。だからこそ取材を通して、同製品が生まれた背景や機能性を紹介したいと考えたのだが、ブランド社の広報担当者が開発背景を明かしたくない姿勢を見せたことに違和感があった。
さらに調べていくと、上述したトラブルが起きていることが分かってきた。今回、何が問題だったのかというと、「誤解を与えるような表現をしたこと」と「リスクへの配慮が欠けていたこと」といえるのではないか。
マクアケの担当者は、今回のトラブルについて以下のように話した。
「今回のプロジェクトにおいて、消費者の方が知りたい訴求ポイントが明確になっていなかった点が課題だったと捉えています。弊社としても、プロジェクト開始後、SNSでの投稿やサポーターの方からのコメントを拝見し、必要な情報を提供するよう実行者さまにうながしておりました。
弊社には、プロジェクト掲載にあたっての明確な社内基準があり、今回のプロジェクトは基準には問題がありませんでした。しかし、実行者に対するプロジェクトページの表現指導には課題があったと反省しています。その対応として、3月1日に掲載基準を公にし、社内体制の強化も図ってまいります」
マクアケでは、19年12月に自社サービスを「クラウドファンディング」ではなく、「アタラシイものや体験の応援購入サービス」と定義し直し、それ以降、自社の発信では「クラウドファンディング」という言葉は使っていないという。
ただし「何をアタラシイと考えるのか」を公にしておらず、SNSなどを通じて「海外製品の輸入販売や海外メーカーへの製造委託(OEM)は、新しい製品といえるのか」という疑問の声が年々高まっていた。さらに、今回の「ザ・ウォッシャー・プロ」などを通して、プロジェクトページの表現における課題にも直面し、掲載基準の発表や体制強化の必要性に迫られたのかもしれない。
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