3月初旬に開かれた両会でも、女性政治家から少子化対策の提言が相次いだ。
政協委員で弁護士の謝文敏氏は、産休の分割取得や男性の育休拡大に加え、2人目の子どもに月額600元(約1万1000円)、3人目には月額1000元(1万8000円)の手当支給を提言したが、すぐに女性たちから中国ならではのブーイングが殺到した。
謝氏の育児手当支給などの提言を報じる投稿(ウェイボより)
中国は女性が結婚・出産しても定年まで働くのは以前から当たり前だが、1人しか産まず産休も2〜3カ月と短いため、出産時期をずらすことで代替スタッフを入れずに人繰りを回している職場が多い。筆者がかつて働いている職場も、申し合わせたように毎年1人が出産し、産休の数カ月はみんなで協力してカバーしていた。
これが2人、3人の出産になると、「産む女性」と「産まない女性」「カバーする人々」の不公平感が生じかねないし、代替要員を入れれば産む女性にとってポストを奪われる脅威になる。寿退社や専業主婦の概念がほとんどない中国で女性が複数回育休を取得するのは、日本の男性の育休取得と同じくらい心理的ハードルが高い。
3人目の出産に経済インセンティブを付与する政策は、謝氏だけでなく多くの地方政府が模索するが、今の少子化の原因は、若者の多くが「子どもは1人もほしくない」と考えていることであり、3人目への支援は貧困地区や農村でしか効果がないとも指摘される。
- 転換期迎えた中国の「自粛のダブルイレブン」、それでも販売額は過去最高
中国のECセール「ダブルイレブン(独身の日)」が終わった。例年と異なり、今年は華々しいイベントや流通額の実況中継はほぼなく、今年の販売額も過去最高だったと発表されたのみ。今年のダブルイレブンは、11日に習主席の演説が公開されるなど異例尽くしで、中国のプラットフォーマーが転機を迎えたことは間違いない。
- 「巣ごもり」「国産」「Z世代」、中国ネットセールに見る消費の新潮流
も耳にしたことがあるだろう。では「618セール」はどうか。そもそも知られていない「618セール」だが、「中国の消費の成熟を示す新しいトレンドが出てきて面白い」と聞いたため、自身の情報収集も兼ね、今年のトレンドを紹介する。
- 中国で“果実酒人気”が爆発、日本企業は「中国の女性」に訴求できるか?
中国で、果実酒など低アルコールドリンクの市場が急拡大している。新興ブランドが都市部の高収入女性のニーズを掘り起こし、伝統酒造メーカーも相次ぎ参入。アリババECサイトの6月のセールでは、果実酒の流通総額は前年比100%、梅酒は200%増えた。中国の女性に特化したマーケティングに力を入れる日本企業も出てきている。
- ジェンダーレス男子、タレント二世も起用NG。中国エンタメ界に吹き荒れる大統制
中国の習近平政権が経済に加え教育・エンタメ業界の規制を強め、国内外から「文革の再来」との声が上がっている。特にエンタメ分野では「ジェンダーレス男子の番組への起用禁止」「タレント育成番組の禁止」など、コンテンツや出演者の裁量を大きく制限しており、中国市場を狙う日本企業やタレントも戦略見直しを迫られそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.