日本ではバブル崩壊後の長い不況で「正社員の夫、専業主婦の妻、子ども2人」という「標準モデル」が崩壊する中、政治家が古い価値観のまま女性に出産へのプレッシャーをかけ続けた。
03年、自民党少子化問題調査会長だった森喜朗元首相は「子どもを一人もつくらない女性が(中略)自由を謳歌し楽しんで年取って、税金で面倒見なさいっていうのは本当はおかしいんですよ」と発言し、07年には当時の厚労相が「女性は産む機械」と述べ、共に大バッシングを浴びた。
公害、高齢化など中国の社会課題の多くは日本が20〜30年前に経験したものだ。今の中国の少子化対策を巡る政策も政治家の発言も、筆者には既視感が強い。
そして「産みたくても(経済不安などで)産めない」若者が多い日本と違い、「自分の時間がなくなるから子どもはいらない」と考える若者を説得しなければならない中国の少子化対策は、より骨が折れそうだ。
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。 最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」 (小学館新書)。twitter:sanadi37 。
転換期迎えた中国の「自粛のダブルイレブン」、それでも販売額は過去最高
中国のECセール「ダブルイレブン(独身の日)」が終わった。例年と異なり、今年は華々しいイベントや流通額の実況中継はほぼなく、今年の販売額も過去最高だったと発表されたのみ。今年のダブルイレブンは、11日に習主席の演説が公開されるなど異例尽くしで、中国のプラットフォーマーが転機を迎えたことは間違いない。
「巣ごもり」「国産」「Z世代」、中国ネットセールに見る消費の新潮流
も耳にしたことがあるだろう。では「618セール」はどうか。そもそも知られていない「618セール」だが、「中国の消費の成熟を示す新しいトレンドが出てきて面白い」と聞いたため、自身の情報収集も兼ね、今年のトレンドを紹介する。
中国で“果実酒人気”が爆発、日本企業は「中国の女性」に訴求できるか?
中国で、果実酒など低アルコールドリンクの市場が急拡大している。新興ブランドが都市部の高収入女性のニーズを掘り起こし、伝統酒造メーカーも相次ぎ参入。アリババECサイトの6月のセールでは、果実酒の流通総額は前年比100%、梅酒は200%増えた。中国の女性に特化したマーケティングに力を入れる日本企業も出てきている。
ジェンダーレス男子、タレント二世も起用NG。中国エンタメ界に吹き荒れる大統制
中国の習近平政権が経済に加え教育・エンタメ業界の規制を強め、国内外から「文革の再来」との声が上がっている。特にエンタメ分野では「ジェンダーレス男子の番組への起用禁止」「タレント育成番組の禁止」など、コンテンツや出演者の裁量を大きく制限しており、中国市場を狙う日本企業やタレントも戦略見直しを迫られそうだ。
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