もっとも、このスターリンクはすでにデュアルユースを始めている。米軍と協力して、1億5000万ドルの契約を皮切りに、19年からは米軍の軍事作戦にもスターリンクの衛星が使われている。スターリンクをウクライナで使うのは、米国側からの支援の一環という見方もできる。つまり、通信のセキュリティについてもかなり配慮されていると聞く。
そしてこれから、このスターリンクがウクライナの対ロシアのドローン攻撃作戦に使われていくという。衛星で接続されたドローンによって、ロシアの部隊や戦車を発見して攻撃を実施している。
フョードロフ副首相は「毎日、スターリンクは到着しており、何千という地域でスターリンクを使っている」と明らかにしている。さらに、ロシアのハッカーたちもスターリンクを検知できていないとも語っている。
民間企業の製品であるスターリンク側にしてみれば、今回の動きで、その存在を世界に知らしめる宣伝効果はあっただろう。ただスターリンクは、これから世界が直面する米中のデジタル分断にも一石を投じるかもしれない。
スターリンクは既に29カ国でベータ版の使用が始まっている。日本でも22年、KDDIのauで試験が始まるとも言われている。これが今後、世界に広がる可能性は高い。
さらに、ロシアからの理不尽な侵略行為に立ち向かったテクノロジーとして、語り継がれていくだろう。事実、ウクライナ侵攻にからんで、スターリンクについての多くのニュースが世界で報じられている。
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