通話がメインなら、もしかして大手キャリアよりMVNO? ガラケーユーザー狙うHISモバイル房野麻子の「モバイルチェック」(2/2 ページ)

» 2022年04月01日 17時45分 公開
[房野麻子ITmedia]
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MNO、MNNE、MVNOの関係

 HISモバイルがこの料金プランを実現し、VoLTE(HD+)にも対応しているのは、HISモバイルのサービスを支援しているMVNEが日本通信だからだ。MVNEとはMobile Virtual Network Enablerの略で、MVNO(Mobile Virtual Network Operator)であるHISモバイルのイネーブラー、つまり支援者だ。

 携帯電話事業を行うには、さまざまな技術、ノウハウが必要となる。そうしたノウハウを持つMVNEは、MVNOが事業を行うために必要な課金システムを構築・運用し、MVNOの代理人としてMNO(ドコモ、KDDI、ソフトバンクなどの大手キャリア)との交渉を行う。MVNEが存在することで、多種多様な事業者が携帯電話事業に参入できるわけだ。なお、日本通信は自らがMVNOであり、MVNEでもある。

 日本通信は、2020年の総務大臣裁定で、ドコモから提供される音声卸料金の値下げを勝ち取った。他のMVNOのように中継電話サービスを利用せずとも、高品質な通話性能のまま通話料を安くできたのだ。

 そのため、日本通信の料金やサービスをベースにアレンジした形となるHISモバイルも、高品質通話かつ安い通話料になっている。

 一方、中継電話サービスを使って通話料を抑えているMVNOも、ネットワーク側でプレフィックス番号を自動付与する「オートプレフィックス」をMNOが提供するようになってから、専用アプリが不要になってきている。まだ一部、アプリが必要な場合もあるが、使い勝手は確実に良くなってきている。

 ビジネスでは標準の通話機能を使うケースがまだ多い。通話料金が安く、データ通信料金は小容量から用意されているMVNOのプランは、通話をメインに使うユーザーにマッチする。

 MNOのオンライン専用プランやサブブランドの勢いが目立つ格安スマホ市場だが、音声通話料金を下げてサービスを強化した日本通信は、21年度、7年ぶりに黒字化する見込みだという。音声通話サービスの充実が、MVNOをもう一度輝かせるかもしれない。

筆者プロフィール:房野麻子

大学卒業後、新卒で某百貨店に就職。その後、出版社に転職。男性向けモノ情報誌、携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年にフリーランスライターとして独立。モバイル業界を中心に取材し、『ITmedia Mobile』などのWeb媒体や雑誌で執筆活動を行っている。最近は『ITmedia ビジネスオンライン』にて人事・総務系ジャンルにもチャレンジしている。


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