不当表示の問題は古くからある問題で、これといった決め手に欠くのが現状だろう。
ただ、今回取り上げた牛宮城、ミスターチーズケーキ、吉野家に関しては、消費者の目線に立った表示のあり方をいま一度再検討する必要がある。場合によっては外部の目を入れることも必要だ。
SNSでの炎上が日常的に起きている現在、本来であれば「トラブルを生まない広告」をチェックする仕組みが内部にあるべきだ。それがうまく機能しない場合は外部からのチェックを受けるなどの方法を検討しても良いのではないか。
吉野家では、最近も常務取締役が早稲田大学主催の社会人向け講座で「生娘がシャブ(薬物)漬けになるような戦略」などと不適切な発言をしたとして謝罪を行っている。
表記のミスとは異なる問題だが、この発言も顧客がどう受け止めるかという視点が明らかに欠如している。ブランドイメージが取り返しのつかないほど損なわれる前に、再発防止に真剣に取り組むべきだろう。
そして、不当表示では大半のケースでペナルティが課されていない点にも問題がある。
景品表示法は16年に法改正され、課徴金の制度を導入するなど、制度の改善が図られている。消費者庁は14年にも、メニュー表示に関して事業者が順守すべきガイドラインを作成、公表するなどしている。
ガイドラインでは、事業者が商品の企画・調達・生産・提供などそれぞれの場面で行うべきチェックポイントを設けており、適切に順守できていれば、牛宮城のようなトラブルは未然に防げると思われる。にもかかわらず、表示が問題となる事例はあとを絶たない。
今回指摘した点以外にもさまざまな原因が考えられるが、そもそもの問題として違反した際にペナルティが課される可能性が低いことも原因の1つではないのか。有名な企業やたまたまSNSで炎上した企業だけが「社会的な制裁」を受けるような形は不公平なだけではなく、当然抑止にもつながらず、結果として消費者保護の実現もできないことになる。
表示問題の解決はまだ道半ばだ。実効性のある制度の改善に向け、今後も議論が必要である。
福岡市内に事務所を構える司法書士。住宅に関するトラブル相談を中心に、これまで専門家の支援を受けにくかった少額の事件に取り組む。そのほか地域で暮らす高齢者の支援も積極的に行っている。
企画協力:シェアーズカフェ・オンライン
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