金子画伯は『不思議の国のアリス』を生涯で3度、描いている。1回目が1974年にイタリアのオリベッティ社が出した絵本、次に94年に新潮社が出した新潮文庫、最後が2000年にKADOKAWA/メディアファクトリーが出版した書籍だ。
絵画の代表作としては「王女に扮するアリス」や「気分を出して」などがあり、その他の画伯が残した絵も死後に高騰を続けている。
「亡くなってからは新しい作品が出ませんから、僕自身もオークションなどで仕入れたりしています。価格は今、手に入れるのにSM(サム・ホール、22.7×15.8センチ)で220万円くらいまで上がりました。オークション会社を通して作品を買い戻すには、手数料として10%程度を支払わなければなりません」
高く売れる作品は、持ち主が玄関に飾れるような作品だそうだ。描かれた人物が洋服を着ていなかったり、血が出ていたりといった作品は人気が出にくく、値段が上がりづらいという。
また先に触れた通り、絵画の個人売買にはリスクが付きものだ。
「必ず『安くしてほしい』と交渉されますから、個人的なやりとりは精神的なダメージを伴います。その時の自分や、お相手の状況にも左右されてしまうのです」
以前オークションサイトに、金子画伯の贋作が出回ったことがあった。必ず本物を見分けるという修さんの目から見ても、「寸分も違わない人が一人いた」という。ただ、その絵画は持ち主がはっきりしていた作品だったため、ネットに出回っているものが贋作だと発覚した。サイトに通報したことが奏功したのか、出品者は絵画の出品を取り下げたものの、その作品が世に出回ったことに変わりはない。
「贋作が出回るようになると、こちらが公式の展覧会を開催することがお客さまにとっては一番の信頼になります。そこで売られているものは本物ですから。さらに金子國義登録委員会というのを作りました。私たちが現物を見て本物だと判断した場合は、本物として登録するのです」
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