「強引なこじつけ」と捉える人もいらっしゃるだろうが、なぜ筆者がそのように考えるのかというと、今回炎上をしているのが、お客様相談室長、マーケティング担当役員、採用担当者といずれも、会社の収益に直接関係のない、いわゆる「コストセンター」の人たちだからだ。
いやいや、マーケティングはプロフィットセンター(収益を維持・拡大する部門)だろ、という反論もあろうが、DIGIDAY+の記事にあるように、名だたるグローバル企業などでは、マーケティング部門はコストセンター扱いされていて、「コスト効率化」のターゲットにされやすいという現実があるのだ。(参照リンク)
吉野家のような外食企業がコスト効率化を目指していくとき、収益をあげる店舗のコストを下げるのは限界がある。不採算店を閉店するなどはできるが、あまりに過度に現場の効率化を追求すると、味やサービスが低下するだけではなく、「食の安全」も揺らいでしまうからだ。それらと対照的に、ザックリと削れるのが、収益に関係のないコストセンター、例えば、お客様相談室や人事部、マーケティング部門である。
ただ、その一方で、このようなコストセンターの「コスト削減」というのは、モロにパフォーマンスに悪影響が出ることでも知られている。もともと収益に貢献していないという負い目があるところに、予算や人員が削減されることで、モチベーションが下がって、仕事が「雑」になってしまうのだ。
これが吉野家の炎上3連チャンに関係しているのではないか、と筆者は見ている。今回のケースはすべて、コストセンターの人たちが「雑」な仕事をして、相手を不快にさせているという共通点があるからだ。
例えば、最初の炎上の場合、お客様相談室長がファンともっと時間をかけて丁寧に話し合いをしていれば、あんな事態にはならなかったことは言うまでもない。
このファンはトランポリン場を運営していて、その施設名を丼に入れてもらいたいだけだった。キャンペーンの条件を突然変えたのは吉野家側なのだから、その相手の心情に寄り添って「落とし所」を探っていけばよかったのである。しかし、お客様相談室長は「訴訟」をチラつかせた。
なぜこんな「雑」なことをしたのかいうと、丁寧に時間をかけて相手を説得するより、このコワモテな対応のほうが、相手を簡単に黙らせることができるからだ。要するに、「効率的なクレーム処理」なのだ。
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