一方で、若い人たちに焼き芋の人気を広げたのは、ドン・キホーテと考えられる。
同社の店舗でも、主に店頭の出入口付近に電気式焼き芋オーブンを設置している。集客装置としての役割も大きい。ドン・キホーテをはじめパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が運営する店舗は国内に602店あるが、多くの店で焼き芋を販売している。
ドン・キホーテが焼き芋販売に取り組んだのは、11年の東日本大震災の際、茨城県の農家のサツマイモの売り先がなくなって困り果てているという話を聞いたからだ。それまでも一部、東京の店舗で売ってはいたが、今のような店の名物ではなかった。
「お求めやすい低価格で販売したから、お客さまに認知が広がったのではないか」(同社・広報)というのが見解。品種は主に紅はるかを使用。参考価格はLサイズで213円(店舗によって商品ラインアップ、価格が異なる)。
年間売り上げは15億円を突破し、年間販売本数は1230万本に達している(20年10月〜21年9月/PPIH国内の全数値)。
焼き芋は甘みを最大限に引き出すため、特殊な焼き芋機でじっくりと焼き上げている。サツマイモをゆっくり加熱することで甘みが増すので、ヒーターの改良を重ねている。サツマイモの状態に応じて、焼き上がりの温度を設定。一年中おいしい焼き芋を提供できるようにしているという。
味に統一性を持たせるため、指定した農園の厳選された素材のみを取り扱っている。
年間商品として取り扱うようになったのは、15年からだ。17年5月までは、温かい焼き芋を通年販売していた。
同年6月からは、それとは別に原料の甘さを生かした冷やし焼き芋を夏季限定で販売し、好評を博している。18年夏季より冷やし焼き芋の通年販売を行う店もある。
PPIHグループでは、焼き芋を「日常食」として位置付ける。専門店の広がり、サツマイモ栽培農家の増加に鑑み、今後も焼き芋ブームは続くと想定している。
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