クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

ディーゼルはオワコンなのか? 輸入車の現状とハイブリッドとの戦い 鈴木ケンイチ「自動車市場を読み解く」(4/4 ページ)

» 2022年05月16日 07時00分 公開
[鈴木ケンイチITmedia]
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フルハイブリッド vs ディーゼル

 では、マツダではない、トヨタやホンダ、日産のハイブリッドとディーゼルを比べるとどうなのでしょうか。トヨタや日産、ホンダのハイブリッドは、発電用と強力な駆動用モーターを搭載するのが特徴です。

 性能を比較してみれば、ゴルフのディーゼルは、リッター20キロの燃費に110kW(150馬力)のパワー、360Nmのトルクを有します。それに対して、日本のフルハイブリッドとなる、トヨタのカローラスポーツのハイブリッドは、リッター25.6キロ、システム最高出力90kW(122馬力)、エンジン142Nm・モーター163Nm。そしてホンダのインサイトは28.4キロ、モーター96kW(109馬力)/267Nmとなります。

車種 リッターあたり燃費 出力 トルク
ゴルフ(ディーゼル) 20キロ 110kW(150馬力) 360Nm
カローラスポーツ(ハイブリッド) 25.6キロ 90kW(122馬力) 142Nm・163Nm
インサイト(ハイブリッド) 28.4キロ 96kW(109馬力) 267Nm

 つまり、燃費で見ると「フルハイブリッド」が勝り、加速力の源になるトルクでは「ディーゼル」が上。これに「マイルドハイブリッドのガソリン・エンジン」を加えると、燃費はフルハイブリッド>ディーゼル>マイルドハイブリッド、トルクはディーゼル>フルハイブリッド>マイルドハイブリッドの順となります。

 逆にいうと、燃費も悪く、トルクもないのが「マイルドハイブリッド」となります。そして輸入車には「フルハイブリッド」がほとんど存在しません。そのため、「フルハイブリッド」の日本車と戦おうというのであれば、輸入車は、トルクに勝る「ディーゼル」が欠かせないということになります。

 EVが売れていない日本市場では、フルハイブリッドが数多く販売されています。その中で、フルハイブリッドを持たない輸入車が勝負するには、まだまだディーゼルが欠かせないのではないでしょうか。EVが売れるようになるか、日本車のフルハイブリッドに対抗できる新技術が出てくるか。それまではディーゼルが終了することはないはずです。

筆者プロフィール:鈴木ケンイチ

1966年9月生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく“深く”説明することをモットーにする。


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