伝説のヘヴィメタルバンド「LOUDNESS」を支えた事務所社長 米国進出の舞台裏を聞く「世界への扉」を開いた(3/6 ページ)

» 2022年05月21日 07時41分 公開
[柳澤昭浩ITmedia]
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ラルク、B'z、黒夢が尊敬するバンド

――L'Arc-en-Ciel、B'z、黒夢など多くの有名アーティストがラウドネスをリスペクトしています。隅田さんのラウドネスの第一印象はどんなものでしたか?

 ライブを観(み)にいくようになったのは高校生の時です。いろいろなバンドを観てきましたが、演奏力を含め圧倒的に何かが違っていましたね。

 ラウドネスのメンバーに会ったのは、80年代アンセムが米ロサンゼルスで公演した時です。ちょうどラウドネスもアルバム制作でロサンゼルスにいて、偶然同じホテルに宿泊していました。

 ラウドネスのギタリスト、高崎晃さんの部屋に行く機会があり、彼のプレーを目前にするのですが、これまで観たり、聴いたりしてきたギターではなく、もう別格という感じでした。

――その出会いの後、ラウドネスのマネジメントに関わるようになったのですか?

 アンセムでは日本ツアーを複数回り、アルバムも2枚分ほど担当しました。その後、別の世界も見てみたくなり、ジャズやフュージョンに関わる仕事もしました。ですが、やっぱりメタルが好きだと気付き、「やはりメタルを極めるならラウドネスだな」と思っていたところ、知り合いからの紹介もあってラウドネスに関わることになります。

――ラウドネスにはベースのローディーとして関わったそうですが、自身も楽器をやられていたんですか?

 ギターは少しやっていましたが、文化祭用に練習したくらいでしたね(笑)。

――実際に、ラウドネスに関わることは刺激的でしたか?

 それまでの仕事とは全く規模が違い、いろいろと勉強させもらいましたね。今は日本でも普通になったステージ上の演出機材ムービングトラスやチェーンモーターなどは、ラウドネスが米国で本場のエンタメの舞台で知り、日本に持ち込んだのが最初だそうです。

――米国のステージを日本にもってくるとは画期的でしたね。

 米国のステージを観て、そのすごさに触れ学んだスタッフが、今もラウドネスのスタッフにもいます。

 当時、米国のツアーには、テレビクルーも同行していて、カメラを回していたんだそうです。これらの収録テープは、なくなったと長年聞かされていました。

 しかし、ダメもとで当時を知る方に探してもらったら、テープが出てきたのです。今から5年前に「THUNDER IN THE EAST」というアルバムの30周年記念盤を出したのですが、当時の様子をドキュメントとして入れました。米国でのラウドネスへの熱狂ぶりがよく分かります。

THUNDER IN THE EAST 30th Anniversary Edition」(日本コロムビアオフィシャルサイトより)

――いま振り返ってラウドネスの41年間には、いくつかのターニングポイントがあったと思うのですが、どのあたりだったと思いますか?

 1つ目は、浅草国際劇場のデビューライブですね。これはファンの間では「ラウドネス衝撃のデビューライブ」として知られていて、音のデカさも演奏力も圧巻だったそうです。3000人のファンが集まりました。今も現役で活躍している多くのミュージシャンや評論家、そして現在のラウドネスの舞台監督も、もみくちゃにされながら最前列で観ていたライブです。

 2つ目は、初めての米国西海岸ツアーと欧州ツアーでしょうか。後者は、ライブドキュメント作「ユーロバウンズ」として記録に残っています。欧州の街から街へと連続して回ったものですが、映像からも現地での熱狂ぶりが伝わります。

 最後は「THUNDER IN THE EAST」を携えての米国進出です。これは、後に知ることになるのですが、いくつもの面白いエピソードがあります。

欧州ツアーは、ライブドキュメント作「ユーロバウンズ」として記録に残っている「EUROBOUNDS remastered」(Amazonより)

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