クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

ミニが6年連続の輸入車種ナンバー1に その人気の理由とカラクリ 鈴木ケンイチ「自動車市場を読み解く」(3/3 ページ)

» 2022年05月26日 07時00分 公開
[鈴木ケンイチITmedia]
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2015年前後に起こった変化

 とはいえ、そんなBMWミニでも、15年度以前はトップを獲得することができませんでした。では、15年度の前後にBMWミニに何があったのでしょうか。

 それは4ドア版の追加です。もともとミニというクルマは、BMWがブランドを買収する前の、いわゆる「クラシック・ミニ」の時代から、2ドアが特徴でした。BMWミニにも、2ドアが継承されています。でも、やっぱり利便性でいえば、後席用のドアを持つ4ドアの方が勝ります。また、日本だけでなく世界的にも、コンパクトカーの2ドア+ハッチバックという3ドアのスタイルは減少しています。

 そんなところにBMWミニにも4ドア版が生まれ、日本でも14年から販売が始まります。また、翌15年にステーションワゴン版となるBMWミニ・クラブマンがフルモデルチェンジ。日本における新型の販売が始まります。

 この4ドア追加とステーション版のフルモデルチェンジの直後となる16年度、BMWミニは初のナンバー1の座を獲得しました。さらに、17年にはSUV版のBMWミニ・クロスオーバーがフルモデルチェンジ。そして18年には、基本モデルとなるBMWミニ自体がマイナーチェンジを実施。毎年のように新型を投入することで、16年度から連続での年間販売ランキングナンバー1を守り続けたのです。

 ちなみに日本は、世界でも有数のミニ好きの国となるようです。クラシック・ミニの晩年期、日本向けの販売が堅調だったことで、その寿命が数年伸びたといわれています。BMWミニの時代になっても、世界市場における日本のポジションは五指に入っているとか。

円をモチーフにデザインされたミニの運転席(出典:MINI公式Webサイト)

 クラシカルさとキュートさをミックスさせたデザインと、スポーティーな走り、こだわり感のある上質感なインテリア、最新の装備類といったものがありながら、高すぎないというのが、BMWミニの特徴でしょう。「日本車は便利だけど、もうちょっと楽しい雰囲気のクルマに乗ってみたい」と考える人であれば、BMWミニは、ぴったりの選択肢になるはず。しかも、3ドアから5ドア、ステーションワゴンにSUV、カブリオレまでと品ぞろえも豊富。ヒットするのも当然かもしれませんね。

筆者プロフィール:鈴木ケンイチ

1966年9月生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく“深く”説明することをモットーにする。


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